トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 知事記者会見 > 知事臨時記者会見(平成23年9月9日金曜日)
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本館2階特別会議室 16時から 発表事項
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知事
お手元に資料があると思います。この1年間検討した資料になります。
説明につきましては、既に皆さん、先ほどの県議会の全員協議会の場でお聞きになっておられますから、改めてご説明するまでもないのかもしれませんけれども、読み上げさせていただきたいと思います。
まず、経過の説明がございます。県立射撃場の整備につきましては、甲州市塩山上小田原地内の甲州市の市有地を候補地にいたしました。県の財政事情が非常に厳しいものですから、韮崎市内で当初計画していた旧計画地がございましたが、そこの事業費で約30億円の半分、したがって15億円程度に事業費を抑制することを基本として計画を進めてきたところであります。
しかしながら、騒音・鉛対策や、新たな防災対策が必要となることなどによりまして、当初の想定事業費約16億円が7億円程度増加して約23億円となることが明らかになりました。コスト削減の努力を徹底的に行いましたけれども、削減額はそれほどたいしたことがないとのことでありました。
こうしたことから、これは昨年の議論ですけれども、スポーツの振興とか鳥獣被害の抑制などにおける射撃場の重要性はもちろんでありますけれども、同時に本県の財政事情も総合的に勘案しながら、改めて幅広く検討した上で結論を得ることが適当だと判断いたしまして、昨年9月のことでありますけれども、改めて幅広く射撃場を取り巻く現状、適地、規模の妥当性、射撃場の必要性など、様々な可能性を検討して、最終的な方針を出すことを記者会見でも、また議会の場でも表明したところであります。
その後約1年間検討してきたわけでございますので、今日その検討結果をもとにいたしまして、先ほど、県議会の全員協議会で私の考え方をお示しして、議員各位からご意見をいただいたところであります。
射撃場を取り巻く現状についてでありますが、平成19年3月に環境省が「鉛汚染調査・対策ガイドライン」を策定いたしました。これが、非常に大きなインパクトをもたらしているわけであります。これは射撃場で使用される鉛弾に由来する鉛が原因で環境保全上の問題が生じることのないよう、対策のあり方について取りまとめられたものでありまして、これによりまして、新たに射撃場を整備するには、整備の経費が1.4倍増加することになったわけであります。そのため、平成16年度の岡山県を最後として、ガイドライン策定以降は、新たに都道府県立の射撃場が整備された事例はなく、鉛汚染対策のガイドラインが射撃場整備に大きく影響しているわけであります。
そして、全国の射撃場の整備状況を見ると、都道府県立の射撃場はそれほどたくさんあるわけではありませんで、クレー射撃場について言えば、本県も含め16府県あるが、そのうち7府県の射撃場が、まさにこの鉛の処理対策のために閉鎖中となっておりまして、今オープンしているのは9県であります。
次に、16府県のうち平成元年度以降にオープンしたのが11県あるが、うち7県が国体開催に向けて新設、再整備されたものである。
残りの4県は、平成6年から8年の地方財政の好調時に計画・整備されておりまして、このような全国的な状況を見る限りにおいて、新たな射撃場を整備することは、1つには自治体の財政状況が上向いている時に計画・実施される場合と、同時にまた、国体開催があるので、どうしても整備する必要がある、2つの場合だと、我々としては判断しているわけであります。
次に射撃場の候補地について適地の選定の作業を行ったわけであります。現計画地以外の候補地の検討に当たって、地形、騒音、工事費、整備規模などの条件をもとにしまして、県内33ヵ所について検討を行ったわけであります。この中では、県内の4ヵ所の民間射撃場の活用も合わせて入っておりますし、基本的な計画としては、クレーは4面取ることになっておりますけれども、これを2面に縮小する案も併せて並行的に、この33個所については検討したとのことであります。そのような検討を行ったのですけれども、ガイドラインに沿った鉛対策などによって、事業費30億円の半分程度で整備可能な適地は、見つからなかったとのことであります。
射撃場については、必要性は変わらないのでありまして、スポーツとしてクレー射撃の競技力の向上に必要なものだと思いますし、また、有害鳥獣による農林産物の被害が拡大しておりますので、銃を使って有害鳥獣を捕獲することを拡大していかなければならない。そのためには、銃を実射できる環境の整備は必要でありますから、射撃場は必要だというこれまでの認識が変わっているわけではありません。しかしながら、適地が見つからなかったことに加えまして、新たに整備するとなると、県営施設として鉛汚染対策をしっかり行った上で取り組む必要があるために、事業費の抑制には限界があり、どうしても多額な県費を投入することになる。このため、関係団体や一般利用者の皆さんには、大変ご不便をお掛けすることになるわけでありますけれども、現下の大変厳しい財政状況を踏まえると、県としては、当分の間、射撃場の建設は凍結せざるを得ないと判断したところであります。
しかし、これまであった射撃場がなくなるために、そのことによってクレー射撃の競技力が大幅に低下したり、あるいは有害鳥獣対策に影響することが極力出ないようにする必要があります。このため、韮崎射撃場の閉鎖に伴い、射撃練習を他県で行ったりしておりまして、そのために個人や団体の経費負担が増加しておりますので、射撃場整備に代わる方策として、負担軽減の措置などをとっていきたいと考えているところであります。
また、今回、整備を凍結し、そしてその代替の措置を行うことが、今後、クレー射撃競技の成績とか、有害鳥獣対策などにどのような結果として影響なり効果が出てくるのかについて、概ね5年後を目途に検証したいと考えております。
以上でございます。
記者
先ほどの県議会の全員協議会の場で、5年後の検証結果によっては建設の復活を検討することもあり得るのかという質問に対して、平出(亘)知事政策局の方からは、今回は子細に検討したのでそういうケースは厳しいのではないかという所見があったのですが、これは知事としても同じ考えでしょうか。その点についてお願いします。
知事
今回1年間かけまして33ヵ所について、いろいろな方面から候補地を出してもらって、現地調査も含め詳細な検討をした結果として、適地はないという結論に達したものですから、なかなか条件に合う適地が新しく見つかるということは簡単ではないと思っているところです。しかし、そうは言っても客観情勢というものがこの5年の間に大きく変わって、例えば国体の山梨県開催が決まるとか、あるいは有害鳥獣対策として国の大きな方針みたいなものが、例えば射撃場に対して助成措置を講ずるとか、そういう大きく客観情勢が変わるというようなことがあれば、これは再検討するということは当然あるだろうと思っております。
記者
ということは、そういった大きな転換期がなければ再検討はしないということでよろしいでしょうか。
知事
いずれにしても5年後には検証するわけですから、今回のこういった方針の結果として、その影響なり効果がどうなっていくのか、射撃場を建設しないということの結果・効果がどうなっていくかということの調査はしなければならないわけです。その結果として、あとは判断でありますけれども、やらないということになるかもしれないし、また今言ったように客観情勢が大きく変われば、あるいはまた再検討するということもあるかもしれないということです。要するに、検証次第だということになると思います。
記者
5年間という時間の根拠はどういったものになるのでしょうか。知事の場合、次の任期にかぶってしまうのですが、何故この5年間という時間を選ばれたのか、伺いたいのですが。
知事
そう深い意味はないのですが、10年というと10年一昔と言うように、少し長いのではないかという感じが1つします。それに有害鳥獣対策問題というものは今ホットな重要な問題でありますので、今回射撃場を建設しない代替の措置として、射撃をやる方の技術力の向上ということについての支援措置をとるわけですけど、そのことの効果というものを見て必要があれば改善するということは当然あるわけです。だから10年検討しないということは少し長い。やはり5年くらいで見て、例えば今回、技術力向上のための支援をし、その効果がどうなのかということの検証をするとなれば、5年くらいが適当ではないかと思っているということです。
記者
5年というのは任期中に結論を出すということではなく、あくまで期間でお考えになっている。そして、その5年間というのは鳥獣害というものが、例えば被害がもっと大きくなるとか、そういった可能性、リスクは低いというお考えでおっしゃっているのですか。
知事
リスクが低いということまでは考えておりません。鳥獣害対策を実施するために今回代替の措置を検討して進めていくわけでありますけれども、その効果を検証するのは問題の重要性からすれば5年くらいでやるのが適当ではないかと思っているということです。10年間何もしないということだと少し長すぎるし、2年3年ということだとまた少し短いのではないかということから5年という判断をしたということです。
記者
猟友会や競技者への何らかの補助ということですが、これはいつからどういう形で、どういった算出方法でされるのでしょうか。
知事
それはこれから検討することになると思いますけれども、その辺については内部で検討するというだけではなく、いろいろな関係者のご意見も聞きながら適切な措置、有効な措置を考えていくということになると思います。今の段階で具体的にどれだけの額、どういう方法でということはまだ全く案があるわけではありません。
記者
5年後に再検討するということになりますと、知事の任期中での新しい県立射撃場の建設は断念ということでいいのでしょうか。
知事
先々のことはどんなことが起こるか分からないわけですが、おっしゃるように考えていただいていいと思います。
記者
引き続いてですけれども、そうしますと5年後に課題を先送りにすることになるかと思うのですけれども、その辺りについて教えてください。
知事
申し上げているように、有害鳥獣対策などとして射撃場は必要なものだと判断している。しかし、県の今の厳しい財政事情から当面建設は凍結することにしているわけでありますから、決して未来永劫絶対造らないのだと考えるべきではないのであって、常に情勢変化を見ながら、やはり造った方がいいと、またそのことについて県民理解が得られることであれば、それは検討すべきだと思います。いずれにしてもそこのところも未来永劫射撃場は造りませんと決めつけてしまう必要はないのではないかと思います。
記者
(議会の)全員協議会でも出ていたかと思うのですけれども、狩猟用の練習場とクレー射撃を分けて考えてみてはいかがかという意見があったかと思うのですが、県立射撃場を造るにあたって、分けて考えるという考えはあるのでしょうか。
知事
それは知事政策局長が答えておりましたように、仮に県が造るとしたらセットで造ることになるかと思うのです。例えば、新しく銃の許可を得たい人が練習するとなれば、まずはクレーから始まるわけです。クレーを一定期間行った上で、次はライフルとなってくるわけですから、それを分けて全然別のものだとすることは適当ではないと、仮に造るとすれば両方セットのものが適当ではないかと思います。
記者
検討した33ヵ所は、県内全域全てにおいて候補地の可能性を調べ上げたという理解でよろしいでしょうか。
知事
全てと言いきれるかどうかです。そこまでは少し言いきれないだろうと思います。いろいろな方から寄せられる候補地とか、県自身が、例えば県有林関係の担当者とか、そういうところから情報を得たりとかして、その33カ所の候補地を取り上げて検討したということでして、一切合切、これ以上候補地はあり得ないというくらいまでになっているわけではない。全く候補地がこれ以外にないかというと、そうではないだろうと思いますが。
記者
クレー射撃協会ないし団体の会長が、5年というところに対して、鳥獣害被害が深刻化してきたり、5年の前に成績が落ちてきたりなど、悪化するようなものが2年3年で出てきた場合に、団体との協議も平行して進めていかなければならないのではないかとのご指摘もあったのですが、その辺に対する見解はどうなのでしょうか。
知事
団体、例えば鳥獣害保護対策について言えば、当然猟友会との協議といったことは常時やっている。これからも、できるだけ鳥獣害保護対策を協力いただきながら的確に進めていくために必要な協議はしていかなければならないと思います。
記者
他県の例を見ますと、県立の射撃場がない地域もございますが、こうした地域では、知事の考えるその何らかの助成という制度を設けているのか、情報はございますか。
知事
(スポーツ健康課長に対して)それはどうですか。
スポーツ健康課長
射撃場がないということのみをとって、助成策を設けているところはございません。
記者
そういった地域ではなにかそれに代わる手当ては。
スポーツ健康課長
通常、例えば競技力の向上であるとか、そういった理由でクレー射撃協会といったところに補助している例はどこでもございます。
知事
国体の競技力向上のためにクレー射撃協会に対して助成措置はとっていますし、有害鳥獣対策のために猟友会にあるいは猟友会の会員に対して支援措置をとっているということはかなりあるでしょう。
記者
長く続いていた県政課題の射撃場の問題がここで一区切りつくということになったわけですが、そのこと対してご所見をお願いします。
知事
大変長く時間がかかってしまったということ。そして、結果として、韮崎射撃場のあとの射撃場を当面建設しないということにしたために、関係の団体や関係者の皆様にご迷惑が掛かっている方がいると思いますが、その点は申し訳ないと思っております。再三申し上げているとおり、これは県の厳しい財政事情を考えればやむを得ないことと是非ご理解を賜り、そして、代替措置として、国体でいい成績をおさめていただくように、クレーの皆様の競技力を向上させるために、また有害鳥獣対策をしっかりやっていただくために、猟友会の皆さん方に対して技術力向上のための支援をさせていただく。そういうことで、このことについては、そういう関係の皆さんとよく協議しながら、どういうやり方をするか決めていかなければなりませんけども、そういうことをやっていくということで是非ご理解をいただきたいと思っております。
記者
今後地元への説明で何か決まっているスケジュールなどがあったら教えてください。
知事
(スポーツ健康課長に対して)地元ということになると甲州市になりますが、甲州市はどうでしょう。
スポーツ健康課長
今朝、甲州市長には話をさせていただいております。それから地元の自治会長については、本日夜説明に行く予定になっております。
知事
今日の夜、地元の自治会長などに説明に行くと言うことです。
記者
前の会見の時に、韮崎の鉛の問題で、その影響が新射撃場にもある程度影響があるとの言葉があったと思うのですが、これについて改めて教えていただきたいということと、代替措置の話がいろいろ出てきているのですが、今まで代替措置で5年間は見られるということだと思うのですが、今までは建設ありきできてしまったという点で、代替措置を全く考えずにきてしまっていたということでしょうか。これまで、韮崎とか甲州の計画の時に予算がふくらむということは何度も出ていたのですが、その時には猟友会とか競技者に対する代替措置は全く考慮されていなかったのでしょうか。
知事
その時は確かに考慮しておりませんでした。今回の当分の間この凍結するという決定、方針は、1年間適地を懸命に探して条件に合う適地がなかったということで、もちろん金額をふくらませればできるわけですが、現在の財政事情のもとではそれは適当ではないという判断から決めたものであります。したがって、韮崎の土壌汚染問題が直ちに直接影響したということではないわけであります。ただし、韮崎の方も、土壌汚染対策、これは環境省とこれから協議をしていかなければならないわけでありますが、仮に土壌の除去ということになりますと、相当多額な費用を要する、それは結局県民負担になるわけでありますし、旧韮崎射撃場の方の県民負担が仮にあるとして、さらに加えてこちらの方の県民負担も、新射撃場も当然県民の負担でつくるわけでありますから、とうことを考えると、県民感情としてどうかという判断は私の気持ちの中にありました。
記者
知事、先ほどの判断理由の中のところに、現下の大変厳しい財政事情を踏まえるという文言があるのですけれども、3月の震災の発生によって県も東海地震の体制見直し等いろいろと進めているのですけれども、あの震災はやはり県の事業執行とか、今回の射撃場を建設するかどうかの判断も含めて、かなり知事の判断、政策判断の中に大きな影響を与えているのか、その点もお聞かせいただきたいのですが。
知事
確かに東日本大震災、これは私だけではないと思いますけれども、あらゆる全ての知事の県政を運営していく上の判断に大きな影響を及ぼしていると思います。やはり安全安心、災害対策を今一段と深めていかなければならないという思いが皆さん持っているだろうと思っております。ただ今回の事にそれが影響したかというと、それはないと申し上げてよろしいと思います。
記者
33ヶ所調べられて、結局30億円の半分という予算で不可能ということなのですけれども、そもそも30億円の半分という金額の設定が妥当であったかどうかということが出てくるかと思うのですが、その辺はどうお考えでしょうか。
知事
そういう議論はあると思います。これはその半分という話を私がしたのは、平成19年のことだったと思います。韮崎の計画30億円、それにさらに鉛対策のガイドラインが出て、プラスアルファになる見通しがあったわけですけれども、それを聞いてこれは少し金額として大き過ぎるのではないかという判断があったわけです。やはり射撃場は必要なものであるということはよく分かるわけですけれども、しかし、30億円と言えば、高等学校が1つ建つ額です。射撃場は広く一般県民が使うものではないということだけに、やはり30億円というのは少しかけすぎではないかと思ったわけです。そこで、目安としてその半分ぐらいのところでやっていこうではないかということ申し上げたわけです。そういう意味でこれは総合判断なわけですけれども、しかし、その時にもそういう根拠があったわけではないのですけれども、理想的な条件で射撃場を造ろうとして、金額を積み上げていきますと12億円ぐらいになります。だから12億円にプラスアルファというとだいたい15億円ということで30億円の半分ぐらいになります。だからいろいろ特別な地形条件が厳しいとかがなければ、鉛対策をしながらそのくらいでできるものです。そういうこともあって、30億円の半分というのは、目安としてそんなにおかしくはないのではないかと今でも思っているところです。
記者
県内ではそういう理想的な条件で射撃場が造れるような場所がなかったということでよろしいでしょうか。
知事
少なくとも今回の33箇所についてはそれに該当するものはなかったということです。
(以上)