ユネスコエコパークとは、正式名を生物圏保存地域といい、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的として、ユネスコが国際的に認定した地域です。日本では「甲武信」「南アルプス」をはじめ10地域が登録されています。ユネスコエコパーク3つの機能保全機能学術的研究支援経済と社会の発展(自然と調和した持続可能な地域発展)奥秩父主稜の中心に位置する甲武信ケ岳ヒメギフチョウ植樹活動3つの区域(ゾーニング)赤石山脈の高い山々と深い谷ライチョウキタダケソウ多くの動植物の生息生育が可能であり、法的にも厳しく保護され、長期的に保存されている地域核心地域を保護するための機能を果たし、教育や研修、エコツーリズムなどに活用されている地域人々が生活を営んでおり、自然環境の保全と調和した持続可能な地域社会の発展のためのモデルとなる取り組みが行われている地域しゅりょう(生物多様性の保全)(科学的な調査や教育を支援)28Biosphere Reservesユネスコエコパークとは? 四大河の源流域 甲武信ユネスコエコパークは、甲武信ケ岳、金峰山、雲取山などの山々が連なり、荒川、多摩川、笛吹川、千曲川の四大河の源流部に当たる奥秩父主稜とその周辺地域で構成されています。 豊かな地層と岩石に育まれた環境に多様な動植物が生息し、特にチョウ類は126種確認され、生物の希少な宝庫となっています。また自然と共に歩んできた長い歴史を背景に多様な文化が育まれ、民俗芸能や山岳・神社信仰が今もなお息づいています。 さらに、地理的特徴や気候を生かし、ブドウ、モモなどの果樹栽培や高原野菜のレタス栽培など特徴的な農業が行われています。 首都圏近郊にありながら豊かな自然を有するこの地域は、約1,800万人の暮らしや産業を支える水源地となっており、自然環境保全の取り組みも積極的に行われています。 高い山、深い谷が育む生物と文化の多様性 南アルプスユネスコエコパークは、3,000m級の山々が連なる赤石山脈の急峻な山岳地帯とその周辺地域で構成されています。国内屈指の多雨多湿地帯であることから、森林の独特な垂直分布が見られます。また、キタダケソウなどの固有種をはじめ、氷期の遺存種であるライチョウなど南限種が多く生息する、生物多様性に富んだ自然環境となっています。山稜部には準平原や氷河地形が数多く残され、活発な地殻変動によって現在も年間約4㎜隆起し続けています。 古来より急峻な山岳地形が交流の障壁となり、富士川水系、大井川水系、天竜川水系の流域ごとに習慣、食文化、民俗芸能などの個性的な文化圏が形成され、現代まで継承されてきました。麓の地域では、これら自然や文化を体験できるプログラム開発などの取り組みが盛んに行われています。ユユネスコエコパーク南アルプス甲武信ユネスコエコパークユネスコエコパーク
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