ふれあい臨時号
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県有地から上がる利益を最大―過去から県が結んできた―多額な訴訟費用を投じた自覚し、行動に移したというた、ということではないので知事は独断で何でもできると 先ほど「司法の判断を仰ぐて住民訴訟を続けた経緯を説を起こした時も議決をいただ梨県の自治」の総意として訴の判断は尊重されるべきと思 一つ言えそうなのは、「賃料なくても」といった声も耳にします(笑)。長崎知事 別に波風を立てたすか。長崎知事 そのようなことは―個人的な思いで突っ走っことを問題視する声もありま長崎知事 訴訟費用は、訴訟県有地訴訟で得た大きなメリットあったということでしょうか。長崎知事 はい、大いにあり「通説」を覆しても県民の利益を追求契約を、県自らが「無効」と主張するのは無理があった、という声も上がっています。長崎知事 ご理解いただきた基づいて事実を認定し、賃料の算定が「不合理ではない」ので「適正な対価」ではないとはいえず、よって契約は無効ではないとしたものです。判決は、本件契約書の賃料が、本件土地の賃料として本来的に望ましい金額、あるいはそうあるべき金額であると言っているものではないことに注意が必要です。 本件訴訟に関しては、提訴の際、執行部のみならず県議会でも活発な議論がなされたと側聞します。裁判の結果に一喜一憂するのではなく、今後の県有林管理を県民全体で議論をして県民が納得する取扱いをしてほしいですし、県側は賃借人との間で、将来に向かってより適切な賃貸料設定について粘り強く協議を続けていくことが求められると思います。九州大学 法学研究院(行政法)田中 孝男 教授日本の自治体における公共的な事項に関する法の制定、運用、評価、権利救済等を中心とした研究を行っている。くてやっているわけではありません(笑)。何か特別なことをしたという感覚もないんですね。県民全体の利益を考えるべき知事職の立場として、限に皆さんに還元しなければならない。この当然の責任をことに過ぎません。全くありません。そもそも、いうわけではないのです。べし」との議会の意思に沿っ明しましたが、その後に反訴いているわけで、いわば「山訟に向き合ってきました。そいます。いう大方針への理解の広がりが、一連の県の行動を支えるかということですね。いのは、現状を良しとしてきとは、同じ「山梨県政」といえども異なるという点です。上に置くことを「通説」とすはそうした考えをとりません。 その上で、今回の判決では「地される」と判示されました。つまり「貸し付けは『適正な対価』によらなければならないことこれに反した契約は無効となを適正化して県民に還元」と土台になっているんじゃないた県政と、県民利益に照らして現状を変えようとする県政「行政の継続性」を県民利益のる向きもあるようですが、私方自治法(第■■■条第■項)違反の契約は取引の相手方との関係においても効力が否定―それはつまり、メリットもを相手方も当然認識すべきで、る」とされたのです。たわけですが、私たちの主張がロジックとして認められたことは、今後の契約においています。小によって機械的に決まります。つまり訴訟費用が大きいということは、裏を返せばそれだいということでもあります。ましたが「単純に損をした」という見方は早計なんじゃないかと思っています。ました。 残念ながら我々のケースには当てはめていただけなかっ重要な指針になっていくと思す。で実現しようとする金額の大け県民の失われた利益が大き 結果として請求棄却となり 判決では、昭和■年の山林原野状態の価格を出発点とし4法律のプロは判決をこう見る  行政法とりわけ地方自治法を研究している立場から、この度の県有地訴訟判決について思うところを述べたいと思います。 第一審の甲府地裁判決でも控訴審の東京高裁判決でも、県の請求は認められませんでした。ただ、これは、県と賃借人との間で締結された平成29年の賃貸借契約について、それまでの数々の経緯を踏まえれば有効である、という結論を出したにすぎません。 本件契約が締結されているということは、様々な事情の下で県と賃借人の両者が内容に最終的には合意をして契約をしたことを意味します。自らが合意して締結した契約を無効であると主張し、それが法的に認められるのは、極めてまれなケースです。民間同士の契約なら、だまされて契約させられたとか、強迫の下でやむなく契約したとか、特殊な場合に限られるでしょう。 これと比べると本件では、高裁判決で、自治体の締結する契約に関して「適正な対価」によらない貸付けが無効となり得るとの法解釈をしました。これは、少し踏み込んだ判断だと思います。 その解釈の下で、裁判所は、県と賃借人から出された多くの証拠に適切な賃料設定について粘り強い協議が求められる

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