vol.19(平成21年1月1日発行)
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Yamanashi Brandやまなしブランド $栽培技術「山上げ」は、八ケ岳南麓では昭和63年頃から始まった。近年は、八ケ岳南麓や富士北麓に自前のハウスを持つ生産者が多く、花の避暑地として他県から参入する農家もあるほどだ。 南アルプス市有野の保坂重雄さん(山梨県花き園芸組合連合会会長)のハウスは、遠くに富士山も眺められる緩やかな傾斜地、広大な敷地に法人経営(白根フラワーコーポラティブ)も合わせ10棟余を構える。消費者に人気のガーデンシクラメンの鉢、まだ市場では珍しい鮮やかな色の花も数多く、色とりどりのパンジーやビオラが所狭しと並んでいる。今ではハウスの温度、湿度や光の量はコンピュータで自動制御され計画的な出荷が可能になっている。丹精込めて育てた花を楽しんでくれる消費者に届けることが何よりの楽しみと、高い栽培技術でさらに意欲的に生産に取り組んでいる。農場に隣接する直売店も家族で経営。花を楽しんでもらいながら消費者の生の声が聞ける、貴重なアンテナショップになっている。 山梨県オリジナルの「クリスマスエリカ」が栽培されていたのは、中央市関原の石原有亨さん(峡北スズランエリカ研究会会長)のハウス。盆地を見下ろす曽根丘陵にある。県総合農業試験場(現在の県総合農業技術センター)で開発した仕立て方法により栽培したスズランエリカ(ツツジ科)。これを峡北、富士北麓の栽培農家が中心となり研究会をつくり、この数年来、栽培に取り組んできた。ちょうどクリスマスの時期に雪のような白い花を付け、かわいらしいクリスマスツリーのようになると大人気。平成15年から出荷が始まり山梨発の新しいブランドとして静かなブームになっている。花の出来栄えに自信はあるが、栽培は易しくはない。山上げのタイミングや規格サイズへの合わせ方、程よい時期に咲かせる苦労も並大抵ではない。試行錯誤の連続、繊細で栽培が難しいだけに挑戦しがいがある。研究会メンバーの情報交換も頻繁に行われ、ようやく成果が見え始めてきた。 一昨年末、横内知事が東京の大田市場で行った花きのトップセールスが大きな話題となった。花き市場での知事自らのPRは、販路拡大だけではなく「山梨の花き」を広くアピールするきっかけとなった。また行政の強力なバックアップは生産者組織やそれぞれの生産者にも、大きな刺激となった。変化する農業生産の状況に対し策定された「やまなし農業ルネサンス大綱」の下、花きについてもさまざまな特色ある産地づくりが進められている。厳しい経済状況下、日々進化する市場に向け、個々の栽培農家では、新規の商品開発が盛んに行われている。トップセールスのニュースは、官民一体となった新しい品種の開発と導入、商品化はもちろん、厳しい状況を乗り切るためのハウスの省力化、低コスト化への技術開発など、新たな取り組みの意欲をかき立てている。クリスマスエリカは山梨のオリジナルの花きのブランドとして、目に見えた成果となった。 栽培農家の努力と技術により生産された花きは、「山梨発の新ブランド」として全国に流通していく。 最高の美しさの水準まで管理された出荷前のコチョウラン。高級化とともにカジュアルな新商品の開発も進む。(中央市極楽寺)ますます進化する洋ラン市場に向け新種の開発も急ピッチ。ハウスで咲き始めた“イエローカード”。(南アルプス市築山)美しい白い花を咲かせた“クリスマスエリカ”。ひと目見れば、誰も身近に置いてみたくなる。クリスマスエリカの規格サイズは30~35センチと厳しい。難しいからこそ、やりがいもひとしおと言う石原有享さん。17ふれあい
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