ふれあい特集号vol.48(デジタルブック版)
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04信玄公祭りを支える人たち北杜市の乗馬クラブを中心とした「小淵沢ホースマンクラブ」は、長年、信玄公祭りに騎馬を提供している。会長の田中さんは、高度な技術を必要とする役馬(映像作品などに出演し演技する馬)調教の第一人者。ラングラーランチ代表 小淵沢ホースマンクラブ会長田中光法さん演劇経験を買われ、27歳の時信玄公祭りのスタッフから言葉による祭りの演出を依頼された。それ以来、南極観測隊に参加した1998年以外、40年以上軍奉行役を務めている。元山梨大学勤務。 馬は元来とても臆病な動物で、大きな音や炎、声援の中での行進は、実はかなり難しいのです。それができる馬を育てるには、個々の馬の気性を理解し、気持ちを常に考え、馬と人間の信頼関係を築きながら特別な調教をする必要があります。ですから、信玄公祭りのように30頭以上の馬が出演する祭りは、他にはなかなか無いと思います。また、信玄公を乗せ堂々と行進する「役馬」になれるのは、数百頭に一頭くらいなので、注目してほしいですね。 馬は、長い歴史の中で人間と共存してきた大切なパートナーです。そんな馬と人の絆、信頼関係を、祭りを通じて感じてもらえたらうれしいです。 祭りの日は、出演の数時間前に会場に到着し、時間をかけて馬の準備。また、出演後の馬のケアを終えると深夜になってしまいます。前日の夜中に雪が積もり、大慌てで全ての馬運車にチェーンを付けた年もありました。このように大変なことも少なくありませんが私のような馬を扱う人間には、武田騎馬隊に対する憧れがあります。ですから信玄公祭りは、騎馬隊を現代によみがえらせる、名誉ある仕事だと思っています。信玄公祭り・軍奉行役飯野洋光さん 軍奉行は戦の進行武者。儀式の進行や、入陣・出陣する軍団の呼び出しが役目です。お客さまは武者たちの雄壮な姿や臨場感のある出陣を期待していますので、それに応えられるよう努めています。隊列が乱れないよう絶えず鼓舞し、アクシデントの際はアドリブでせりふを入れて場をつなぎます。りりしい甲州軍団を見て、信玄公の偉大さを感じ山梨はすごいと思ってもらえたらうれしいですね。 信玄公は、インフラを整え民生の安定を図りました。農民はそんな信玄公を敬い、何かあればお館様の元へ、と思っていたのでしょう。私は、国と家族を守るためはせ参じた彼らの思い、そして平和の大切さを伝えたいと思っています。信玄公祭りは合戦を賛美する祭りではないので、実は、「斬れ」とか「かかれ」という言葉は、台本にあってもあまり言わないようにしています。 近年は、外国からの参加者も増えました。戦に関するさまざまな儀式や甲冑の装飾などには、日本の文化の繊細な感性が表れていると思います。そんな斬り合いのためだけではない合戦用の武具装備にも注目してほしいですね。馬と人の信頼関係が描く戦国歴史絵巻武田騎馬隊を現代によみがえらせる絶えず部隊を鼓舞し軍奉行役で臨場感を演出信玄公の威徳と平和の尊さを伝えたいNHK大河ドラマなどで活躍している役馬のスピンと一緒に采配を手に声を張り、甲州軍団を鼓舞する飯野さんやくうまかっちゅう

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