ふれあい特集号vol.58(デジタルブック版)
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  06 防災研究に取り組む山梨大学地域防災・マネジメント研究センターで、子どもに対する防災教育について研究や普及・啓発活動を行っている秦康範准教授に実践的な防災訓練の重要性などについてお話を伺いました。 防災教育の基本は、「自助」・「共助」ですが、まず自分の命は自分で守る「自助」が基本です。自分が助からなければ人を助けることができませんから、「共助」は、「自助」というベースの上に成り立っているのです。これまでの防災教育は、「知識」と「心のケア」の2本立てによるものでしたが、東日本大震災では多くの犠牲者が出てしまいました。それは津波が危険という知識は誰もが持っていたものの、逃げるという基本ができていなかったからです。その原因は、自分の命は自分で守るという当たり前のことを普段から教えてこなかったことにあります。現在、各学校での避難訓練は事前に決められた日の決められた時間に行われることがほとんどです。しかも先生が教室にいる授業中に行われ、「地震が発生したら机の下に潜りましょう」と教えています。ある学校で休み時間に避難訓練を実施したところ、子どもたちはわざわざ自分の教室に戻って机の下に潜ったのです。これは何のために避難訓練を行うのかを教えられずに、マニュアルに沿って行動だけを教えられた結果です。学校での避難訓練は、休み時間など教師が近くにいない時に抜き打ちで行い、子どもたち自身が判断して適切に身を守る行動が取れるようになることが大切なのです。 秦准教授を講師に迎え、県内の小・中・高・特初任教諭、新規採用養護教諭、新規採用栄養教諭を対象にした「防災教育研修会」を総合教育センターで開催しました。講義では過去の災害事例を振り返ったり、学校現場で行われている避難訓練の問題点を秦准教授が指摘したりした後、グループワークで課題とその解決策について話し合い、各グループの発表も行われました。その中で、「訓練はできるだけ実際に起こり得る状況を想定し、訓練だからこそ、教師も本気で取り組まなければいけない」といった声も聞かれ、参加者は真剣な表情で防災教育の重要性を学びました。 いざという時に、どういった行動を取ればいいか、できるだけ子どもたちに考えさせて、子どもたちが自分の身を自分で守れるように、避難訓練に取り組んでいこうと思います。 防災訓練は本当に大切なものだと感じました。子どもたちには、身を守ることの大切さを教えていきたいと思います。また、実際に起こった災害の映像を見たり、体験者の話を聞いたりすることも防災教育には、必要だと感じました。「自助努力」実践的な防災教育の重要性「自助」を教えることが防災教育の基本准教授 秦 康範さん山梨大学地域防災・マネジメント研究センター 県内の初任者教師に向けた防災教育研修会笛吹市立境川小学校 谷口 檜教諭南部町立富河小学校 小河内 雅子教諭はだやすのり

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