ふれあい特集号vol60(デジタルブック版)
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知って、伝えて、広めよう「やまなしの食」11ふれあいべ物は山梨以外でも見受けられますが、山梨ほど郷土食として愛されているものはないと思います。これほどほうとうが山梨に根付いたのは、地形的に小麦などの畑作に適していたことや、江戸時代に水車が普及したことに起因します。水車という動力の登場により、それまで人力で粉をひいていたものが機械化されたことで、ほうとうが人々の間に広まっていきました。このような歴史のある食べ物を、郷土食として継承し続けてきたのは、本当に素晴らしいことなのです。 今回、県内の食に関する有識者でつくる『「やまなしの食」育み会議』で、県内の郷土食のうち、特に次世代に継承していくべきものを「やまなしの食」として選びました。近年、食育においても郷土食の重要性が再認識されています。若い人たちが自分たちの郷土に愛着を持って、身近にある食を見つめ直し、郷土の誇りとして伝えていってほしいと願っています。Soul Food「小豆ほうとう」(中北地域、峡南地域)ほうとうは、古くは「ハレの日」の特別な食べ物で、小豆の汁の中に入れて食べられていた。現在の小豆ほうとうは、小豆を甘く煮立て、そこにほうとうを入れていて、お祭りなど地域の行事や祝い事の際に食べられている。郷土食「吉田のうどん」の継承に情熱を注ぐ│県立ひばりが丘高校 うどん部│Soul Food 授業で学んだホームページ作成の技術を生かし、地元の「吉田のうどん」のPRを始めたことがきっかけとなり誕生した、ひばりが丘高校「うどん部」。フリーペーパー「うどんなび」の発行、麵などの商品開発を手掛け、3年前からは実際に吉田のうどんを作るようになりました。店を開き、皆さんに自分たちのうどんを食べてもらいたいという生徒の熱意と、地元の食品スーパーの協力により、昨年から、原則日曜日の営業という形でスーパーのフードコートにお店を構えています。麺、スープ、具材、すりだね(唐辛子などを使った薬味)も生徒たちがこだわって開発。そのおいしさは好評を得て、1日に80杯ほどを売り上げる盛況ぶりです。「うどん部の活動は、生徒の実践的な学びの場であると同時に、既存のうどん店をサポートして盛り上げながら吉田のうどんをPRし、後継者の育成につなげることなども目標としています」と顧問の大久保健先生。部長の今野翼さんは「子どもの頃から食べてきた郷土食・吉田のうどんを次の世代に引き継いでいけるように頑張りたい。有名な讃岐うどんを超えることを目指しています」と意気込みを語ってくれました。うどん部は、県から「食の伝承マイスター」にも認証され、その活躍にますます期待が高まっています。県立ひばりが丘高校うどん部部員と顧問の大久保先生(後列右端)男性が打ってきた吉田のうどんの伝統を守り、力強くうどんを打つ(右)唐辛子を練り込んだ「辛麺」は赤い色も辛さも斬新。卵の黄身をのせたうどん「MAGMA(マグマ)」は富士山を連想させる、うどん部考案のオリジナルメニュー(下)

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