本県は良質な水や長い日照時間、豊かな土壌に恵まれており、高品質な農畜水産物を多く生産しています。コロナの感染拡大などの厳しい環境下でも、生産者や本県農業に携わる方々の努力が実を結び、令和2年の農業生産額はその前年を約20億円上回り、1000億円台を回復しました。それに伴い、モモやブドウなど県産果実の輸出額も増加し、初めて10億円を突破しました。 高品質なだけでなく、農業分野から脱炭素化に取り組むなど、おいしさの先を行く県産農畜水産物の魅力を消費者目線で伝えるため、県独自のブランド「おいしい未来へ やまなし」を立ち上げました。対象となる農畜水産物にはロゴマークが使用できます。今後も生産者の所得向上や国内消費、海外輸出のさらなる拡大に向け、この新ブランドのプロモーション活動を積極的に実施していきます。 土壌に炭素を貯留することで、大気中の二酸化炭素濃度を低減させ、地球温暖化を抑制させる国際的な取農畜水産物の独自ブランド「おいしい未来へ やまなし」地球温暖化抑制に貢献する4パーミル・イニシアチブり組み「4パーミル・イニシアチブ」に、本県は令和2年4月から日本の地方自治体として初めて参加しています。本県が誇る果樹栽培で発生する剪定枝を炭化させ、土壌に貯留することで、二酸化炭素の抑制に貢献するほか、その畑で作られた果実を環境に配慮した農産物として認証する制度を設けてブランド化を図り、農産物の高付加価値化を目指しています。またこの取り組みを全国展開し、日本の農業全体で温暖化抑制に積極的に取り組んでいくため本県が提案した、4パーミル・イニシアチブ推進全国協議会が昨年2月に発足しました。今後も全国の旗振り役として脱炭素社会の実現を目指していきます。 県では家畜の快適性に配慮した環境で育てた畜産物のブランド化に向け「アニマルウェルフェア」の認証制度を全国に先駆けて創設しました。アニマルウェルフェアとは「動物福祉」「家畜福祉」とも訳され、鶏を地面に放して飼う平飼いや牛の放牧など、家畜が健康的に育つ良好な環境で飼育することです。 認証制度の創設に当たっては、アニマルウェルフェアを導入し、全国のトップランナーといえる県内の農家などと検討を重ね、牛や鶏、豚についてそれぞれの飼育面積や飼育環境などの基準を10項目設定しました。講習会や指定農場での研修を受けた上で、認証基準を満たす実践農場をそれぞれの達成度に応じた3段階で認証します。その段階ごとにロゴマークを付与することで、消費者が商品を手に取る際にも、新たな価値の付いた商品を選んでもらえるよう、認証制度の周知を図っていきます。 農林業を持続的な成長産業として発展させ、従事する方が豊かさを実感するためには、情報通信技術(ICT)などを活用した高付加価値な農林業の推進が不可欠です。 農業においては、スマートグラスを着用すると、ベテラン農家の技術を学習したAIから摘粒などの作業内容の指示を受けることができる技術を開発しました。新規就農者らの技術習得を効率的に行うことができることから、新たに始める方の後押しとなります。また、農作物の生育環境をセンサーで感知し、高生産の要因を解析することで、生産性の飛躍的向上を目指す「データ農業」を推進していきます。 林業においても、ICTなどの先端技術を活用し、伐採や森林整備の生産性・安全性を向上させる「スマート林業」を推進していきます。また、本年4月に農林大学校に開講する「森林学科」では、スマート林業の実現に必要となる高度な知識や技術を身に付けた人材を育成していきます。快適な環境で家畜を育てるアニマルウェルフェアスマート農林業で生産性を向上ブドウの剪定枝からできたバイオ炭平飼いすることで健康的な鶏を育てるスマートグラスを装着して摘粒するブドウを検出せん てい6
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