ふれあいvol77
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 国内、いや世界を相手に闘える人材を生み出す。 山梨県がそんな子どもを養成するプロジェクトを始動させている。プロジェクトのコードネームは「カイシンのイチゲキ」。戦闘ゲームでよく使われる言葉だ。どんなプロジェクトなのか。真相を探った。が走り、跳び、重いボールを投げていた。まさか、幼い頃から戦士を鍛え上げるということなのか。 「私が『カイシンのイチゲキ』を担当している雨宮祐太です」子どもを世界で活躍するアスリートに育てる「甲斐人の一撃」プロジェクトの狙いや取り組みについてやまなしindepthからダイジェスト版でお届けします。 現れた人物がこのプロジェクトの担当者だという。想像とはまるで違う、爽やかな青年だった。 「ここで選抜している子どもは、将来オリンピックや国民体育大会での活躍が期待できるアスリートの卵です」 アスリート? 「『甲斐人の一撃』と書いて『カイシンのイチゲキ』と読みます。会心の一撃から付けたプロジェクト名です。山梨の子どもが、いつか世界に一撃を与えてほしいという願いを込めました」 雨宮さんは県スポーツ協会から県庁スポーツ振興課に派遣。協会では競技力向上に関する業務を担当し、多くの選手を国内外の大会に送り出してきた。 「アスリートががんばる姿は本当に格好よくて、応援する楽しさを知りました。どうしたらオリンピアンを発掘できるだろうかと考えた時に、小さい頃からさまざまな競技を体験してもらうことが大切だと思いました」 県庁への派遣はコロナ禍の真っ只中。国民体育大会や競技団体への激励など、各種イベントが実施できない状態だった。 「コロナ禍でイベントが開催できないので、課内で協議を重ねて企画を練り上げる時間がありました。コロナ禍でなければ、この事業は生まれなかったかもしれません」 指導者や練習環境の整った競技団体と調整を進めて賛同を得て、2022年8月に1期生の選抜にこぎ着けた。感覚神経が発達する世代(ゴールデンエイジ)にあたる小学5年生を体力測定し、1期生20人程度を選抜。その上で競技を体験できるスキルアップ教室や、基礎能力を向上させるための実技・座学を行う合宿を開催している。 実は、アスリートの卵を発掘する事業は山梨県が先進例というわけではない。雨宮さんが参考にした「先進県」は福岡と岩手、山形だった。 岩手の1期生には、北京オリンピック・スキージャンプ男子ノーマルヒル金メダリストの小林陵侑選手がおり、福岡、岩手、山形はいずれも「種目適性型」というシステムを採用していた。 種目適性型では、一つの種目に絞って才能を伸ばすのではなく、子どもがさまざまな種目を体験した上で自分に合った競技を探す・選択するという。「甲斐人の一撃」と書いてコロナ禍の真っ只中だったから…二刀流どころか三刀流も可能なマルチアスリートに甲斐の国から世界に一撃をはばたけ!未来のトップアスリート 22「甲斐人の一撃」担当者の雨宮さん  「山カ梨イ学シ院ン大の学イのチ体ゲ育キ館」で、小学生たちここから下の段は広告です。広告の内容については、広告主にお問い合わせください。

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