ふれあいvol80
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対談を見守っていた県職員が、登山鉄道構想を説明する資料を2人の間に置くと、野口さんは勢いよくページをめくり始めた… えっ、どうしてですか。 だって、富士山の世界遺産登録が抹消されるかもしれないという話はタブー中のタブーじゃないですか。僕の知る限り、山梨県の知事でそういう話をされたのは長崎さんが初めてですよ。いままでの知事ではありえない発言!(笑) 世界文化遺産になるということは、「必ず三つの宿題を解消します」という国際的なオブリゲーション(義務)を伴うものです。それなのに、何もやらないというのは〝公約違反〟ですから、なんとかしなければいけませんよね。 僕は全ての山に入山料や入山規制が必要だとは思いません。ですが、富士山は特殊な山なので、国際基準で守っていく必要があるんじゃないでしょうか。 はい、入山料の徴収と入山規制は本格的にやろうと思っています。特に弾丸登山など危険な登山者がいるので、入山規制は喫緊の課題です。 ぜひお願いします。 入山規制など〝すぐに取り組まないといけない対策〟を検討するのに加えて、いま私たちは「富士山登山鉄道構想」を提案しています。三つの宿題を解決し、さらに富士山と周辺地域の価値を上げるという、少し長期的な視点に立ったアイデアです。 もちろん知っています。僕は以前、山梨県とは別の組織で、登山鉄道を検討するグループのメンバーだったことがありますから。富士山を守るためには鉄道以外に方法はないと思っていました。 えっ、野口さんも登山鉄道に賛成なんですか? はい。道路に車両を通したままでは、入山料を取っても来訪者を制限できないじゃないですか。でも登山鉄道なら列車の本数によって来訪者数をコントロールできる。 そうなんです。スバルラインを車が通らなくなれば五合目にある広大な駐車場も必要ないので、コンクリートを埋め戻して、あるべき植生を回復させます。これで、景観問題も解決できます。 五合目は電気と水がないので、トイレやゴミの問題など衛生的にもひどい状態です。これは改善されますか? 登山鉄道構想を具現化するときに、軌道をつくるのと一緒に、電気や水などのインフラも整備するつもりです。知事野口知事野口知事野口知事野口いよいよ登山鉄道構想の話に…知事野口知事知事室の空気が少し緩み始めた野口知事23路面電車の軌道の下にケーブルを敷くなどしてインフラを整備する五合目を空撮したイメージ。コンクリート部分に植物を戻す続きはこちらからやまなし in depthここから下の段は広告です。広告の内容については、広告主にお問い合わせください。

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