「富士山は謎だらけ」第一人者も太鼓判一つ目は、国から調査研究のための予算が出ることです。いままでは予算が足りず、十分な観測機器の設置ができていませんでした。特に富士山は日本で一番大きな活火山にもかかわらず、電気が通っていない五合目から上には、ほとんど観測機器がありません。今後は予算がつくことで、きめ細かい調査ができるようになります。二つ目は、火山本部が司令塔になって、火山調査研究を一元的に推進できるようになることです。私が委員長を務める「政策委員会」は、観測や調査研究の基本方針や施策を考えます。これまで研究者の負担となっていた、地面に穴を掘って地層を調べる〝トレンチ調査〟などは調査方法をマニュアル化して業者に委託することで、研究者はデータの分析に集中できるようになります。今年の夏までには総合的な基本施策の要点を固めなければいけません。〝どこに観測機器を設置するか?〟、〝どうすれば効率的な調査ができるか?〟など、考えることが山ほどあって大変ですが、「これからだ!」と気を引き締めているところです。私が初めて噴火に遭遇したのは1970年の秋田駒ケ岳で、大学院生だった私は、「火山は面白い!」と魅せられました。そのときからマグマに興味を持ちました。マグマは地球の深さ50キロ~100キロの比較的浅いところにできます。マグマがどういうものかを知りたくて、太平洋や大西洋の海底などでつくられるフレッシュなマグマを調べました。実は、富士山のマグマは50%以上が固まった液体で、フレッシュではないんです。そういう意味で、私はもともと富士山に興味がありませんでした(笑)。2000年から2001年にかけて低周波地震が起き、富士山を調査する一大プロジェクトの代表に就任して、心の底から思いました。富士山は謎が多い!動画をチェック!まず噴火の数が多すぎる。直近5600年間で約200回も噴火していて、これは普通の火山のの火山は玄武岩や安山岩などが混ざっているのですが、富士山は99%以上が玄武岩でできている特殊な山です。わからないことを解き明かそうとしているうちに、「富士山は面白い!」に変わっていました。火山を50年以上研究していますが、富士山はわからないことだらけでまだまだ興味が尽きません。士山科学研究所は、早く富から火山防災に取り組んできました。他の研究施設と比べて珍しい点は、広報活動や防災教育を含めて地域の人々に向き合った研究をしているところです。富士山が噴火したとき、どうすれば安全に避難できるのかを知ってもらうために、YouTubeの県公式チャンネルで過去に溶岩流が流れたルートを歩いてみる動画などを配信しています。富士山に興味を持ってもらうことが、火山を理解する第一歩です。ぜひ動画を見てみてください![巻頭特集]変わる富士山世界の宝を未来に引き継ぐために観測や調査研究の基本施策を立案する政策委員会藤井敏嗣 委員長関係省庁、研究開発法人、大学、自治体など本部長:文部科学大臣連携観測や調査研究結果などを収集し、分析・評価する火山調査委員会清水 洋 委員長10倍以上の回数です。また、普通富士山科学研究所内には、模型やグラフィックパネルなどが展示されている。現在は企画展「富士山をはぎ取る」を開催中。はぎ取られた地層から、多様な噴火の様子を読み取ることができる[問い合わせ先]火山防災対策室 TEL 0555-24-9036 FAX 0555-24-9038 7施策を伝える評価結果を知らせる火山調査研究推進本部[新しい火山研究の体制]富士山科学研究所ってどんなところ?
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