さぼうのおしごと(砂防読本)
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自然環境と砂防 13 砂さ防ぼう施し設せつが作られるところは、色いろ々いろな動物や植物が生きているような自し然ぜんが豊ゆたかなところであったり、とても美しい景けしき色で名所となったりしていることが多くあります。砂さ防ぼう施し設せつを作るときは、災さい害がいを防ふせぐことはもちろんですが、まわりの川や山、観かん光こう名所などの、いわゆる「環かん境きょう」にも気をつけなければなりません。【田た原はらの滝たき 桂かつら川がわ】(都つ留る市 田た原はら) 右の写真は、田た原はらの滝たきに作られている砂さ防ぼうえん堤ていですが、どこにえん堤ていがあるかわかりますか? 田た原はらの滝たきは、山中湖から流れ出た桂かつら川がわが、富ふ士じ山さんの噴ふん火か活動による溶よう岩がんを削けずりながら流れることにより作り出された滝たきで、白しら根ねの滝たき、白しら滝たきとも呼よばれています。江え戸ど時代には「奥おくの細道」で有名な松まつ尾お芭ば蕉しょうも、ここを訪おとずれて俳はいく句をよんでいます。しかし地じ震しんの影えい響きょうや岸が崩くずれることにより、まわりの家いえ々いえに被ひ害がいがおよぶことが考えられたため、砂さ防ぼうえん堤ていを作ることになりました。 最さい初しょは普ふ通つうのコンクリートで作られたのですが、やはりまわりの岩の様子や滝たきを大切にするために、まわりの岩と同じような形に作り直しました。【大おお柳やな川がわ】(南みなみ巨こ摩ま郡ぐん富ふ士じ川かわ町ちょう 柳やな川がわ) 普ふ通つうの砂さ防ぼうえん堤ていは壁かべのような形をしているので、水は滝たきのように流れ落ちます。そのため、川に住む魚たちは砂さ防ぼうえん堤ていより上流に移い動どうすることはできないことが普ふ通つうです。 しかし、この大おお柳やな川がわでは、砂さ防ぼうえん堤ていを切り欠かいたり、下流側がわに魚ぎょ道どう(魚がのぼれるように高さの差さを低ひくくした水路)を作ったりして、魚や水中の動物たちが生活できる範はん囲いを狭せばめないように工く夫ふうしています。都つ留る市 田た原はら南みなみ巨こ摩ま郡ぐん富ふ士じ川かわ町ちょう 柳やな川がわ 自然環境と砂防 自然環境と砂防
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