山梨てくてくvol.10
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FEATURE受け継がれる印伝の技法さらさ更 紗 模様の色ごとに型紙を替え、多色使いの模様が表現できる技法。漆ではなく顔料を使用することで鮮やかな多色模様ができる。色が多いほど型紙の枚数が増えるが、美しい仕上がりのためには少しのズレも許されない。正確かつ均一に色を載せる高度な技術が必要。印度伝来の更紗模様に似ていることが、その名の由来といわれている。ふす燻 べ 太鼓と呼ばれる筒に鹿革を張り、わらをたいていぶし、茶褐色系の色と模様を施す技法。鹿革に型紙を重ね、上からへらでのりを置いて防染し、いぶし終わったところでのりを剥がし取ることで模様が白く浮き出る。漆置き技法よりも古い歴史を持つ。現在生産量は少ないが、その独特な風合いは根強い人気を誇っている。漆置き 漆置きは印伝の最も代表的な技法。染め上げた鹿革の上に型紙を載せて漆を刷り込み、立体的な模様を付けていく。均一に漆を刷り込むには熟練の技が必要。職人が使うへらは自然にくぼみができ、職人の手にフィットしていく。漆は、時とともに色がさえ、深みのある光沢を帯びる。国の伝統的工芸品に指定。産地としての誇りを胸に未来を描く 昭和49年には甲府印伝商工業協同組合が設立され、業界の発展へ向けた情報交換や、伝統の技の継承と、さらなる向上を目指す取り組みが推進されるようになりました。その後、洋装に合わせたハンドバッグなども生産。ファッションの多様化にマッチする製品の開発も活発に行われ、印伝はさらに人々から愛される存在に成長していきました。こうして山梨は印伝の産地として揺るぎない地位を確立し、昭和62年には国の「伝統的工芸品 甲州印伝」に指定されました。現在は海外でも高い評価を受けるなど、山梨発の美しい印伝文化は新しい時代の幕開けを迎えています。06
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