てくてくvol.16
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ル付近までの山地帯ではブナなどの広葉樹林、2600メートル付近までの亜高山帯ではシラビソ、コメツガなどの針葉樹林が分布しています。それ以上の高山帯ではハイマツや高山植物の群落があり、キタダケソウなどの希少な固有種を含む多様な植物を見ることができます。また南アルプスの豊かな森林には多くの動物も生息しています。高山帯の象徴であり、国の特別天然記念物であるライチョウは世界の生息地の南限となっているほか、ホンドオコジョや高山性のチョウなど、希少な動物たちの多様な生態系があります。 なぜ、南アルプスにはキタダケソウやライチョウといった希少な種が生息しているのでしょうか。それは氷河期と深い関わりがあるといいます。氷河期の日本は大陸と陸続きで、大陸の動植物が日本にやってきました。その後、大陸と離れ気温が上がり始めると、これらの動植物は生きるために寒冷な地を求め、標高の高い地域に生息するようになったとされます。南アルプスの高山帯に孤立するように生きている動植物は「氷河期の遺存種」と呼ばれています。 南アルプスは、古くから信仰の場であり、平安時代に編さんされた「古今和歌集」にも登場しています。南アルプスが信仰ではなく山を楽しむための登山である「近代登山」の場となっていったのは、明治政府が招いた外国人の多くが日本の山々に引かれたことが影響したと考えられます。その中の一人がイギリス人宣教師で登山家でもあるウォルター・ウェストンです。ウェストンが南アルプスの山々を登り、著書「日本アルプス再訪」にその魅力を記したことなどから、南アルプスの存在は世界に広まっていきました。そのような近代登山の発展を支えたのが、山仕事や狩猟の経験を生かして山の案内人を務めた地元芦安村(現南アルプス市)の人々でした。山に真摯に向き合い、登山者のために献身的に活動して「芦安の案内人」と名をはせた人々もまた、登山の歴史に残る忘れてはならない存在です。こうして近代登山の先駆けとなった南アルプスは、今もなお多くの人々を引きつけてやみません。キタダケソウは、北岳の高山帯に咲く多年草で、北岳の限られた場所にしか生育していない固有種。雪が解ける6月~7月ごろ、花の季節の到来を告げるように白くかれんな花を咲かせるしん し近代登山の発展と芦安の人々の献身北岳の雪渓ライチョウ05
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