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ページID:75072更新日:2023年1月26日
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CB0025 国指定 重要文化財(美術工芸品-彫刻) |
平成25年6月19日指定 所在地 南アルプス市江原1302 所有者又は管理者 浅間神社
この像は、背中合わせに三方を向く女性像(女神)と、その上の仏像(如来)の形式で表わされた半身像を一本の木材から彫りだしたもので、高さ40.5センチメートル、表面に着衣などの彩色を伴うものである。 目鼻や衣の縁をくっきりと刻みだす刀の使い方や、胸の厚い体型などの特徴より、平安時代(11世紀)の製作と考えられている。また中心に載る如来像の髪が耳を覆い、胸部までの半身像として表わされる形式は、十一面観音像の頭部の一番上のもの(頂上仏面)としてしばしば見られるもので、疫病を消し去る利益があるとされている。 11世紀頃には、富士山がしきりに噴火を起こしており、噴火は兵乱や悪病流行の前兆として畏れられていた。このため噴火を鎮める願いを込めて浅間神社が祀られてきたが、富士信仰にかかわる古い記録では、浅間神は女神とされていたことが知られている。この神像が、如来の形をも併せ持つ他に例を見ないスタイルで表わされたことは、頻発する富士山の噴火を背景とし、併せて疫病の災いを除きたいとの当時の人々の切実な願いも託されているのではないかと推察される。 木造浅間神像は、特異な形の平安時代の神像として注目され、古代の富士山信仰に関連する神像としては、現存最古の作例であり、唯一長く伝えられてきた彫刻遺品としても極めて価値が高いものである。
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