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ページID:78095更新日:2017年3月10日
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CC0061 県指定 有形文化財 (彫刻) 木造刀八毘沙門天 勝軍地蔵坐像 |
平成29年3月2日指定 所在地 甲府市岩窪町500 所有者又は管理者 瑞巌山円光院
刀八毘沙門天、勝軍地蔵は、それぞれ毘沙門天、地蔵菩薩をもとに、我が国で成立した軍神であり、中世以降その信仰が広まったとされる。本2像は、この刀八毘沙門天、甲冑姿の勝軍地蔵の彫刻作例としては、全国的にも早い時期の作例である。一方、刀八毘沙門天と勝軍地蔵を一具として祀る形は、京都東山の清水寺で鎌倉時代に造立された勝敵毘沙門と勝軍地蔵の一具に由来するとみられる。清水寺の一具像は、現在は室町時代末期制作とされる像と変わっており、本2像は、この清水寺像とともにこの一具形式の早い時期の作例である。ただし、本2像では、清水寺の一具のうちの勝敵毘沙門を刀八毘沙門天とし、さらには刀八毘沙門天の図像を腕を10本として、その全ての持物を刀剣とするなど、軍神として強化された姿に改変しており、他に類例の知られない形である。 本2像は、像の高さが11、12センチというごく小像ながら、その表現は緻密でかつ生彩がある。特に刀八毘沙門天像は、8本の脇手を大きく広げて堂々とした趣があり、本面の引き締まった表情や顔の長さ僅か1.5センチの両脇面の精緻で迫力のある造形など非常に優れた作行きを示す。衣や甲には、両像とも全面に切金で文様を表し、獅子冠の獅子、台座の獅子、馬にも玉眼を嵌入し、金銅製の垂飾を多用するなど、細部まで入念で荘厳も華やかである。 このように、本2像は、制作に優れ、全国的にも類例稀な一具像であり、また、信玄が本拠である躑躅が崎館に祀った重要な尊像として歴史的な意義も高い。
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