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ページID:77492更新日:2017年2月15日
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KB0009 国指定 重要文化財(建造物) |
昭和10年5月13日指定 所在地 甲府市宝2-8-5 所有者又は管理者 穴切大神社
穴切大神社は大己貴命を祭神とし、社伝によれば、和銅年間(708~714)の甲斐国は、盆地一帯がまだ湖水であったので、時の国司は朝廷に奏問のうえ大己貴命を勧請して祈願をこめて着工し、鰍沢口を切り開いて排水したため、広大な良田が開発されたので、収穫は増加して国中繁栄の基となった。工事竣功にあたり、神助によるところと感謝のため、ここに神祠を建立したと伝える古社である。その後の詳しい沿革や社殿造営については史料がなく明確ではない。 いまの本殿の建立年代は明らかではなく、様式上から桃山時代に再興されたと考えられている。以後貞享4年(1687)に修理のあったことが棟札によって知られる。 本殿は、一間社流造、桧皮葺である。身舎は円柱で、組物は実肘木つき出組で挙鼻を出し、軒支輪を備える、正面と両側面の中備えには蟇股を置き、頭貫の先端は木鼻をつける。正面中央は方立柱構えとし、八双金具で飾る両開きの板唐戸を入れる。正面と両側3面には擬宝珠高欄つきの榑縁をめぐらし、両脇奥よりに脇障子を設ける。 軒は二軒繁垂木で、妻飾りは豕杈首組の構架とし、破風にはかぶら懸魚を飾る。 向拝は面取り角柱で、組物は通肘木つき連三斗を組み、装飾彫刻のある手狭を入れ、組物間の中備に蟇股をおき、そして向拝柱に渡す頭貫の先端は象形に彫刻化された象鼻となる。向拝の前面には浜床の設けがある。 この本殿は比較的小規模な社殿であるが、全体の形式には室町末期の要素を残しており、細部には桃山時代における装飾的な意匠に富み、とくに蟇股にみるような図案的な浮彫の装飾彫刻と、さらに脚の先端に若葉の形をつけた形態は、桃山時代から発達する細部装飾の初期の形式をみせるものである。 なお、当初は木部に彩色をもって装飾がほどこされていたが現在は剥落が多く、正面の部材に描かれた文様をみることができる。 この建築は、昭和11年(1936)に解体修理が行われ、昭和20年(1945)の戦災も免れて現在に保存されたものである。
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