ページID:77498更新日:2017年2月15日

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国指定 重要文化財(建造物)

塩沢寺地蔵堂

  • 塩沢寺地蔵堂(えんたくじじぞうどう)

昭和24年2月18日指定

所在地 甲府市湯村3-17-2

所有者又は管理者 塩沢寺

 

 塩沢寺は真言宗智山派の古刹である。創立は古く明確ではないが、寺伝によると弘法大師が諸国をめぐったとき開いた霊場で、このとき寺中に温泉湧出を発見したと伝えられる。その後天暦9年(955)に空也上人が開基となり、厄除地蔵尊像を安置して一寺を建立し、塩沢寺と称した。

 鎌倉時代に大覚禅師が訪れて堂宇を再興したという。厄除地蔵と呼ばれて有名で、2月14日の祭典は災厄のがれの祈願者で賑わいをみせる。

 地蔵堂の建立年代は不明であるが、様式上から室町時代末期と考えられる。

 建物は、湯村山中腹を整地した平坦地に立ち、基岩から造りだした石造台座に安置される石造地蔵菩薩坐像(県文化財)の周囲に基壇を築いて、これに覆堂形式で建造された珍しい例である。

 この堂は桁行4間、梁間3間で、屋根は茅葺形銅板葺の寄棟造りである。平面は正面3間の前方2間通りを外陣、後方2間通りを内陣とする。柱は、円柱で、柱上の組物は枠三斗と平三斗を組み、中央間のみ中備に簑束をおいている。また頭貫先には木鼻をつける。正面中央間の出入口には両開き桟唐戸、両脇の間には嵌殺し格子戸、両側面の出入口には舞良戸を入れるが、当初は外陣全体が吹放ちであった。堂の周囲には切目縁をめぐらす。

 内部の床はすべて板敷で、内外陣境の柱から前方および後方の側通り柱に対して、虹梁、大瓶束を用いた構架で仏前に広い空間をとる。天井は竿縁天井とし、周囲1間通りは化粧屋根裏である。

 内外陣の間仕切りは、中央が吹寄菱欄間だけで下方は開放となっているが、当初は格子戸で厳重に仕切られていた。背面と両側面の三方は板壁で密教寺院の仏堂としての構えが認められる。内陣に安置される本尊には1間厨子が設けられており、これは床上に木製礎盤をおき、丸柱を立てて虹梁様の頭貫で繋ぎ、先端には木鼻をつけるが、構造と手法上から江戸時代の造作と考えられている。

 地蔵堂はこのように簡素な仏堂であるが、組物や木鼻彫刻、虹梁大瓶束の構架などの細部手法に室町時代末期の特色をよく示している。一部に後世の修理や改変が加えられていたが、昭和32年(1957)の解体修理により旧状に復原されたものである。

 

 

 

 

 

 

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