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ページID:77500更新日:2017年2月15日
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国指定 重要文化財(建造物) |
昭和24年2月18日指定 所在地 山梨市北654 所有者又は管理者 大井俣窪八幡神社
窪八幡神社拝殿は、十一間社流造の本殿正面に、これに対応する間口11間の長大な外観で建っている。これは別に庁屋とも呼ばれている。 社記によると、天文3年(1534)に御供殿と呼ぶ社殿建立が記されていて、これが拝殿の前身建物と思われる。その後、天文22年(1553)に武田晴信(信玄)によって、信州村上義清を攻略の際に祈願成就のため造替が行われたと伝えられてきた。現在の拝殿は解体修理のときに、小屋束から「弘治三年」(1557)の墨書が発見され、記録のとおり拝殿造替があって、弘治3年頃に竣工されたことが明らかになった。また拝殿に附属して指定をうけた鰐口がある。もとは拝殿に懸けられていたが、この表面に天文22年、裏面に弘治3年の刻銘があり、これも建立年代を裏付ける資料となっている。 拝殿は桁行11間(22.14メートル)、梁間3間(5.53メートル)で、きわめて長大な平面を有する。そのうち北寄り2間(向って右)は御供所と呼び、礼拝部は9間の長さである。柱はすべて面取り角柱で、柱上は舟肘木の組物を置き、肘木の美事な曲線をみせる。正面と背面中央間および南端の間を吹放ちの出入口とし、建具装置は備えない。御供所を除いた柱間は、腰貫と長押間に吹放ち窓をめぐらし、他は嵌板壁である。正面と背面の出入口には木階を設ける。軒は一軒疎垂木とし、屋根は桧皮葺の切妻造である。妻は豕杈首組で、破風には梅鉢懸魚を飾る。 内部は桁行礼拝部9間、御供所2間の2室に分かれ、床は全面板張りである。側柱の前後間に梁を架し、桁行には梁ごとに中心を結ぶ繋梁で繋ぎ、その交点に棟束を立て大斗、舟肘木で棟木を受ける。また両脇に小屋束を立て直接母屋を受ける。礼拝部、御供所の間仕切り3間は、面取り角柱上においた舟肘木で梁を受け、柱間には引違い板戸を入れる。天井は両室とも化粧屋根裏である。 この拝殿は、装飾的な細部を用いず、簡潔な構造による素木造の美しさをみせる。本殿建物にふさわしい対比の技法が示され、本殿と拝殿併せて室町時代における特異な社殿配置であって、中世建築史上からみて貴重な遺構である。 昭和28年(1953)に解体修理が完成した。 |