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ページID:75128更新日:2016年10月6日
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KC0066 県指定 有形文化財(建造物) 主屋 文庫蔵 座敷蔵 |
平成28年9月5日指定 所在地 甲府市城東5-3-5 所有者又は管理者 個人
石川家住宅は甲府市街地にあり、国道411号線(通称城東通り)沿いに位置する建物である。近世甲府城下の代表的な塗籠土蔵造町屋の系統を引き継ぐ、数少ない戦前から存在する建物である。第二次世界大戦終了以前には甲府市街地には土蔵造りの商家が軒を連ねていたが、昭和20年7月の甲府空襲と戦後復興に伴う開発により、その多くは消滅している。その中で石川家住宅は、明治期の遺構を残しながら現在まで残っている建築物である。 主屋の奥には、クラノマエ(蔵の前)を介して二階建ての座敷蔵が続き、さらに西側の庭中には文庫蔵が配置されている。表通りに面し門が建立され、南西隅に道祖神がある。また、周囲には高さ2m以上の塀を巡らせ、漆黒の重厚な構えとなっている。東の土塀に沿って物置があるが、かつては女中部屋であったと伝わっている。 座敷蔵は主屋より古い建築で、1階は14畳に床・棚を設けた座敷と、2階は板間とする。2階の天井は張らず、屋根裏を見せる。 文庫蔵は主屋向いにあり、「弘化四年末二月吉日」の棟札で建設年がわかる。外観は主屋同様の黒漆喰塗であるが、内装は主屋の洋間同様、白漆喰塗でモールディングと照明の吊元にメダリオンがある。これは近代の改造であろう。 第二次世界大戦の戦禍に見舞われた甲府市街地には現存する歴史的建築物は極めて少ない。その中で石川家住宅は貴重な建築物である。また、平面や洋風要素も注目すべき点が多く、材質、仕上げ、意匠も秀逸で後世に伝えるべき歴史的な住宅建築である。吟味された建築材料を使用し、意匠性の高い座敷や当時の流行であった洋間を取り入れるなど、当時の富裕層の趣向を知ることができ、また、関東大震災や第二次世界大戦時の痕跡も残っており、地域の歴史を知る貴重な史料でもある。
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