ページID:76234更新日:2016年12月8日
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TY0080 国登録 有形文化財(建造物)
正面外観 小屋組(建築当初の材) |
平成28年11月29日登録 所在地 甲府市御岳町字上村2368-1 所有者又は管理者 宗教法人 金櫻神社
金櫻神社境内にあった社人参籠所(こもり屋)を昭和10年(1935)頃の神社再建時に移築し、集会所とした。参籠所の頃は、囲炉裏のある大部屋であったといわれる。戦後は部屋に仕切って教育の場として利用したこともあり、昭和54年(1979)に「御嶽公会堂」として40畳の大広間と台所に大改修されている。大改修の詳細については、資料・写真が保存されており、その後も台所を舞台とするなど改修が続けられている。現在は、御岳町自治会の管理で、「老人憩いの家」としても利用される。 敷地は、金櫻神社の境内地であり、立派な石垣で造成されており、明治39年(1906)「甲斐国御嶽金櫻神社全景」では、駐在所・火の見櫓が描かれる場所にあたる。大鳥居に面して建ち、玄関には妻飾に鏑懸魚、虹梁の上部に平三斗・板蟇股の組物がみられる。入母屋屋根は、移築前は檜皮葺であったといわれ、一軒の化粧疎垂木である。これらの意匠は、神社建築であった参籠所を移築した建物であることを物語っている。 大改修が行われているため、当初の平面構成は不明といわざるを得ないが、主要な柱・梁と小屋組については、当初材が多く残されている。とくに京呂組を用いて、梁間4.7間(28.7尺)を無柱で梁を渡す架構形式は、参籠所の架構をそのまま利用したと考えられ、また当初材の状況から移築した参籠所は、近世の建築であったと推定される。板戸・障子であった当初の印象とは大きく異なるが、このように参籠所の大空間架構が残されていることは注目される。近世に社人の集まる場であった建物が、近代の集会施設へ転用された事例として貴重である。
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