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ページID:96449更新日:2024年5月21日
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県立考古博物館では、秋季企画展「縄文土器のものがたり」をご自宅でも皆様にお楽しみいただけるよう、「おうちde土器のものがたり」と題して、全11回にわたって展示の内容をご紹介してまいります。第1回のテーマは「葬送儀礼に転用された土器」です。
天神遺跡(北杜市)出土・深鉢形土器
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この土器は北杜市天神遺跡の421号土坑という墓から出土しました。下の写真左の中央に丸い穴がありますが、これが421号土坑です。この墓からは土器とヒスイ製の装飾品が出土しました。不思議なのは土器の形です。土器の下半分がなく、逆さまに埋められています。実は今回の展示会では出土した状態で展示しているのです。
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関東の貝塚からは縄文時代の人骨が出土しますが、千葉県千葉市有吉南貝塚からは土器の上半部を逆さまにして頭部に置いた成人男性の骨が出土しています。この事例は中期後葉(約4,900年前)ですが、前期後葉(約5,900年前)でも天神遺跡や群馬県の遺跡から土器の上半部が逆さまに埋められている事例が確認されることから、墓を遺体に納める際に頭部に土器を逆さまに置く儀礼を行っていたと考えられます。
天神遺跡出土・深鉢形土器(中央奥)と酒呑場遺跡出土・有孔土器(右)
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また、上の写真奥の土器は天神遺跡の149号土坑、右側の土器は北杜市酒呑場遺跡1号配石内1号土坑という墓から出土しました。いずれも葬られた人に副葬された土器と考えることができます。
このように、縄文時代前期後葉には亡くなる人を弔う葬送儀礼が発達しました。様々な形で出土した土器は葬られた人と土器との関わりを物語っています。
県立考古博物館
電話:055-266-5286
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受付時間:午前8時30分~午後5時
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌平日)