トップ > 組織案内 > 観光文化・スポーツ部 > 山梨県立考古博物館 > 資料・展示紹介 > おうちde考古博物館第3回「権現堂遺跡出土・泥塔」
ページID:94794更新日:2024年5月21日
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県立考古博物館では緊急事態宣言に伴う外出自粛の中、皆さまがご自宅でも当館の資料をご覧いただけるよう、特に吉祥や疫病対策に関する考古資料にスポットを当てて紹介してまいります。
今回ご紹介する資料は、富士川町の権現堂(ごんげんどう)遺跡から出土した「泥塔(でいとう)」です。
見てください。このシルエット。何かを想像させます。そうです。あれです。某スナ○キンのシルエットに似ているのです。そのため私たちは親しみを込めて、この遺物のことをス○フキンと呼んでいます。この○ナフキンはただのスナフ○ンではありませんでした。本来特別な意味を持った、祈りのための道具だったのです。
権現堂遺跡(富士川町)出土・泥塔
山梨県指定文化財・富士川町教育委員会所蔵
古代~鎌倉時代にかけて、小さな塔を量産することで公私にわたる様々な願いを叶えようとする小塔供養(しょうとうくよう)がありました。そのうち、土でつくられたものを泥塔と呼びます。怨霊調伏や病気平癒等を祈ったとされています。山梨県内でも富士川町舂米の権現堂遺跡からは平安時代ごろの泥塔が大量に出土しています。
この供養は、当時の貴族階級等で流行したもので、中央との交流の中で甲斐にもこの供養を持ち込んだ人物がいると推定され、普段は後に武士と呼ばれる貴族層の地域進出や信仰を明らかにするうえで重要な役割を果たす、という説明がつけられています。
しかし、昨今の情勢において私たちは様々な自粛を余儀なくされています。このような視点で見ると、様々な心配事があるのに何もできないのは「苦痛」なのです。現代より科学的とは言い難い時代、そうした願いを当時の人達も持っていたと思われます。行き場を失った願いをどのように昇華するのか。そうした視点でみると、物言わぬ考古資料が急に身近に思えてきます。
県立考古博物館・学芸課
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臨時休館後(6月1日以降)の休館日:毎週月曜日