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ジュエリーデザインを行う(株)ガイアジェムの代表・関戸和代氏。
毎シーズン、Koo-fuコレクションにデザイナーとして参加し続け、
自身の母校である県立宝石美術専門学校でデザインを教えるために教壇に立っている。
「ジュエリーが身に着ける人にとって“人生のしおり”になるようにデザインしてます。」
そう語る関戸氏は、クライアントとのコミュニケーションを通して、
その人だけのストーリーを付した、“一生モノ”になるジュエリーをデザインしている。
それは富士山をイメージしてるんです。石はブルーレースっていう水色の瑪瑙(めのう)を使ったの。縞模様が山の峰みたいに見えるでしょ。静岡側から見るとこんな風に見えないけど、山梨側から見るとこう見えるんです。
これはね、甲府の女性の職人さんにお願いしたんですよ。原石を磨き上げるとどういう姿になるのかっていうのは、デザイナーの私にはイメージしにくいんです。なので、彼女の頭の中にあるイメージを教えてもらうんです。この石を研磨すればこういう模様が出るとか、色合いはこんな風になるとか。そのプロセスを楽しみながら作り上げました。
そうなんです。山梨みたいに毎日富士山が見える場所ってなかなかないじゃないですか。山梨に住んでいることってホント贅沢なことなんだって思うんです。これはジュエリー産業でも同じことが言えるんだけど、山梨には熟練の職人さんがいっぱいいる。夜中に急に石に穴を空けたいって時も「仕方ないな」って削ってくれる職人さんが近くにいる。これってスゴイことなんです!今回のコレクションの作品にはそういう意味も込めているんですよ。
身に着ける人にとって、私がデザインしたジュエリーが“人生のしおり”になるようにと思っています。この前のお客様は婚約指輪とネクタイピンを持ってきて、これを使ってリフォームしてほしいという依頼でした。で、よくよく聞いてみたら、どちらも亡くなったご主人の遺品だったので、そこからパーツを切り取って、奥様の婚約指輪をリフォームして、一緒にしてあげましょうって提案したんです。そうすれば、奥様の指輪の中でご主人はいつも一緒でしょ?指輪はご主人の思い出が詰まったメモリーになるわけで、それを見ればご主人のことをすぐに思い出すんです。
ええ。すごい泣いて感動してくれましたよ。彼女にとっては、まさに“一生モノ”のジュエリーになると思います。でもそのためには身に着ける人の“人生”を知ることがすごい大事。なので実際に会ってお客様と色々お話して、身に着ける人の記憶に残るようなストーリーを考えてデザインするんです。マリッジリングのデザインを依頼されたときは、男性用と女性用を二つ並んで合わせると、向きの違うスカルの顔がまるでオデコにキスしてるようにデザインしました。いつかケンカしたときにこれを見て、結婚したときはこんな気持ちだったねって思い出してもらえるように。
はい。私自身が宝石美術専門学校を卒業していて、学生のときはデザインを学んでいました。デザイン画もそうですけど、もともと絵を描くことは自信があったんです。中学生のときから画家の安永元典先生の下で絵を教わっていましたから。放課後、友達が部活をしているときに私は先生のアトリエに行って修行してました(笑)。
生徒に夢を与えるのが教育だと思ってます。仕事をしている姿を見せるというより、世の中に対して、各人に色々な役割があることを知ってもらいたいかな。私の場合は、人の幸せや喜びを形にすることが、天から与えられた使命ですね。生徒たちには、ジュエリーは可能性のある仕事なので、どん欲に学んで自分の道を切り開いていってほしいですね。
2011年3月22日 インタビュー掲載
名 称:株式会社ガイアジェム
E-mail : gaiagem@me.com
事業内容:ジュエリーのデザイン
オリジナルデザインのジュエリー製作・販売
各種販促品の作成
Koo-fuコレクション2011
女性の職人さんにより研磨されたブルーレースが美しい。
関戸氏デザインのイヤリング
関戸氏が描いたデザイン画
県立宝石美術専門学校で非常勤講師を務める関戸氏。
授業中での一コマ。
●(株)ガイアジェム代表●山梨県立宝石美術専門学校卒業。●山梨県立宝石美術専門学校で非常勤講師を務める。●Koo-fuプロジェクト2008~2013に参加。
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