ページID:36894更新日:2019年9月4日
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平成30年の本県の工業の状況を従業者4人以上の事業所でみると、事業所数1,728事業所(前年比2.0%減)、従業者数7万2,404人(同1.7%増)、製造品出荷額等2兆5,019億55百万円(同11.2%増)となっている。
業種別の構成をみると、事業所数では生産用機械器具製造業が10.7%で最も高く、次いで、食料品製造業10.1%、その他の製造業10.0%、金属製品製造業9.3%、プラスチック製品製造業8.8%の順となっている。
また、従業者数では、生産用機械器具製造業が18.2%で最も高く、次いで食料品製造業14.6%、電子部品・デバイス・電子回路製造業9.7%、電気機械器具製造業6.4%、プラスチック製品製造業5.7%の順となっている。
一方、製造品出荷額等は、生産用機械器具製造業が34.0%で最も高く、次いで、電子部品・デバイス・電子回路製造業8.6%、食料品製造業8.2%、飲料・たばこ・飼料製造業6.7%の順となっている。
わが国の国内総生産(実質)は、2018年(平成30年)7~9月期に▲0.6%とマイナス成長となったものの、10-12月は0.5%に回復し、2019年(平成31年)1~3月期も、住宅投資や公共投資の増加により0.6%と2四半期連続でプラス成長となった。
日本銀行甲府支店は、今年に入ってからの県内景気について、鉱工業生産が弱めの動きがあるものの、設備投資が大幅に増加していること、また、個人消費が全体として底固く推移していることを受け、「足もと弱めの動きがみられるものの、基調としては緩やかに拡大している。」としている。
このような状況の中、県内金融機関の預金残高は、平成31年3月末現在で、4兆5,024億円、前年同月比の1.9%増となったが、貸出金残高は、1兆9,248億円、前年同月比の▲0.2%となっている。
一方、山梨県信用保証協会の信用保証債務残高は、平成31年3月末現在で1,263億円、前年比▲1.7%となり、緊急保証が終了した平成23年度以降は減少が続いている。
なお、平成30年(1~12月)の県内企業倒産(負債1千万円以上)件数は48件で、負債総額は64億9,900万円となった。前年に比べ、件数は1件減少、負債総額は272億9,900万円減少している。
中小企業者を構成員とする組合は、経営の合理化、大企業との格差是正及び公正な競争の為の基盤の確保などを目的として組織されています。
県内で活動する主な中小企業者の組合は、次のとおりです。
組合の種類 | 概要 | 主とする根拠法 |
事業協同組合 | 中小企業者が相互扶助の精神に基づき協同で事業を行い、経営の近代化・合理化及び経済的地位の向上等を図るための組織であり、最も普遍的な中小企業者の組合である。 | 中小企業等協同組合法(昭和24年施行) |
企業組合 | 個人事業者や勤労者などを構成員とし、資本及び労働を集中させ、単一の企業体と同様に事業活動を行う組織。 平成14年度の根拠法改正により、加入条件が拡大され、創業や新事業展開に向けた組織として機能強化が図られた。 |
中小企業等協同組合法(昭和24年施行) |
商工組合 | 同一事業を営む事業者を構成員とし、業界の置かれている環境を是正し、業界全体の改善発達を図るための組織。 組合の扱う事業により「商業組合」または「工業組合」と称する場合もある。 |
中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年施行) |
協業組合 | 従来から同一事業を営んでいる中小企業者を構成員とし、事業の一部又は全部を共同経営し、事業規模の適正化、技術水準の向上、設備及び経営の近代化・合理化、生産・販売能力の向上などを目的とする組織。 | 中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年施行) |
企業数は減少となっている。
山梨県産業技術センターでは、各産地織物協同組合と山梨県織物整理工業組合の協力を得て、平成29年(1月~12月)の山梨県富士北麓・東部地域の織物生産量及び織物生産金額の調査を行った。
その結果、推定生産量は約11,492千平方メートル(前年比10%減)、推定生産額は約8,272百万円(前年比10%減)であった。
本県の和紙工業は、はるか延喜の時代に生まれたといわれ、市川大門和紙と西嶋和紙の2つの産地がそれぞれ特徴ある和紙生産を行っている。
武田氏の時代に御用紙として用いられた「肌吉紙」に代表される手漉き和紙の生産が続いている。一方で、全国に先駆けて機械漉きによる障子紙生産を始め、今では主要産地となっている。近年は、現代の感性による新しい和紙商品づくりも盛んに行われている。
武田信玄により、紙漉き業の産地として認められ、現在でも7つの事業所で手漉き和紙が生産されている。戦後、書家とともに開発した画仙紙が広く認められ、安価な中国紙の台頭する中にあって、原料の工夫や機械の開発などを積極的に行い、高品質な書道用紙の生産を続けている。
印刷業界は生産工程のデジタル化と技術革新により、高度化、簡易化が進展し、また、異業種の参入もあり価格競争が激しくなっている。
クライアントの印刷物に対する知識や品質的要求が高度化する中で、印刷技術の高度化、設備のデジタル化により品質を向上させ、また新規需要開拓を行い、環境の変化に対応している。
本県には、「山梨県印刷工業組合」と「山梨県軽印刷工業会」の2団体がある。
昭和57年の中央自動車道の全線開通以来、本県の機械電子工業は大きな成長を遂げ、本県の製造業を牽引している。
特に、電子部品、半導体デバイス、半導体製造装置、液晶製造装置、数値制御装置、産業用ロボット等の産業集積が進んだことにより、生産用機械器具製造業、電気機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業が本県のリーディング産業となっている。
県下に広がる森林資源を背景に、本県の製材業は県内全域に分布し、主要な地場産業として地域経済に重要な役割を果たしてきた。特に戦後の復興期から高度経済成長期にかけては、旺盛な木材需要に呼応して積極的な設備投資が行われ、工場数のピークである昭和44年には364工場が稼働して、406千m3の製材品を出荷していた。(出荷量のピークは昭和54年の454千m3)
しかし、その後、昭和40年代後半からは県内の森林が資源量の端境期に入ったことにより、外材を主体とした製材加工を経て、近年は、製品による木材輸入が増加したことで、工場数、製品出荷量ともにピーク時の1割以下にまで落ち込んでいる。
こうした中、県内の森林資源は戦後積極的に植林された人工林が成熟し、木材として利用可能な時期を迎えていることから、地域で生産された木材が地域内において付加価値の高い製材品として加工され、住宅などの建築物に供給されることが重要である。
本県の木材チップ工場の多くは、製材工場との兼業で製材時に発生する端材から木材チップを生産している。このため、近年の製材工場数の減少に伴い、木材チップ工場数も減少している。
一方、近年はFIT法に基づく木質バイオマス発電向けの森林由来間伐材等の需要増加に伴い、木材チップ工場以外の林地等での生産が増加している。
山梨の金峰山から東方の大菩薩嶺に連なる秩父多摩甲斐国立公園地域の山岳一帯は、水晶原石の古産地である。本県の研磨・宝飾業は、江戸時代に京都の玉造り職人から御岳の神主らが研磨技術を習得し、県産水晶の加工を行ったことに始まったと考えられている。
装身具用宝石や水晶美術彫刻等を加工する宝石研磨工業をはじめ、装身具の加工を行う貴金属製品製造業、さらに、これらの販売を行う流通部門を含めて、全国の宝飾品製造額の約3割を占める国内唯一、世界的にも数少ない大生産地を形成してきた。
バブル景気崩壊後は縮小傾向にあり、現在はピーク時の3分の1程度の産業規模であるが、依然として日本一の研磨宝飾産地として重要な地位を占めている。
また、宝石研磨工業から派生・発展した水晶振動子・半導体等の電子部品、レンズ・プリズム等の光学部品を加工する工業製品製造業の産地でもある。
近年、宝飾品については国内における販売が低迷しているほか、中国経済の減速を背景に海外需要も鈍化している。加えて、高齢化に伴う熟練技能者の不足が大きな問題となってきており、後継者対策が急務である。
このような中、平成24年12月に設立された山梨県水晶宝飾協同組合は、ジュエリー部会、宝石研磨部会、貴金属工芸部会および水晶美術彫刻部会の、相互の交流を活発化させている。平成31年4月に開催された第48回甲府ジュエリーフェアでは、産地ブランド「Koo-fu」や「山梨ジュエリープロジェクト」による新作ジュエリーの国内外への販路拡大に積極的に取り組んだ。
平成25年度に開館した山梨ジュエリーミュージアムでは、企画展示や職人による実演等、ジュエリー産地としての情報発信に継続して取り組んでいる。
主な製品・業界の動向は次のとおりである。
本県で加工される主な宝石は、水晶、めのう、ルビー、サファイア、ガーネット等の宝石類でカット、丸玉、穴あけ及び彫刻加工などあらゆる加工が行われている。中国・東南アジア等海外生産国との競合が厳しさを増しており、高品質、特殊形状、多品種少量生産、短納期などへのきめ細かい対応で海外との差別化を図ってきたが、全体的に仕事量は減少し、産業規模も縮小傾向にある。
高齢化を理由に廃業する企業も増えてきている。若手技能者に優れた人材も輩出されるようになっているが、後継者不足は深刻さを増している。
令和元年度も厳しい状況が続く中、7月には業者向けの第70回ジェムストーンフェアを開催するなど、新規顧客の獲得に取り組んでいる。
本県の水晶美術彫刻は、昭和52年通商産業大臣指定(伝統的工芸品)産業「甲州水晶貴石細工」として認定されている。水晶の仏像に代表される置物等の美術工芸品が主流であったが、現在では装身具用小物彫刻や茶器等と様々な製品が製造されている。
山梨県水晶美術彫刻協同組合では、毎年、水晶美術彫刻新作展を開催して技術力向上と新商品開発に努めているが、平成27年度は関東経済産業局のJAPANブランド育成支援事業に採択され台湾での展示会に参加、その後も海外での出展を続けており、海外ブランド戦略にも取り組んでいる。
また、令和元年8月には、同組合青年部による第9回水晶彫刻若手作品展が開催されるなど、若手職人による活発な活動も継続して展開されている。
県内の貴金属装身具の多くがロストワックス鋳造によって製造されている。
近年は季節需要・イベント需要が盛り上がりを欠いており、受注は全体として厳しい状況にあるが、納入先によりばらつきがある。差別化に取り組んでいる企業では好調さも窺える。
工業製品は、水晶振動子、デジタルカメラのレンズ・プリズム等の光学部品やセラミックス、半導体関係のパーツの精密加工などが行われている。
水晶振動子は、スマートフォン向けが減少傾向にある一方、車載向けは堅調に推移している。
本県のワイン産業は、明治初期に勝沼の2人の青年がフランスで学んだワイン醸造技術を地元に広めて以来着実に発展し、現在では約80社のワイナリーが集積する日本有数のワイン産地となっている。
各ワイナリーでは様々なワインが醸造されているが、なかでも、本県特産の甲州種ブドウで造られた甲州ワインは近年品質の向上が著しく、国際コンクールでも高評価を得ている。シュール・リー製法(発酵後、澱と接触させて味の厚みを引き出す製法)や樽を使用したもの、新たな柑橘系の香りを特徴としたものやスパークリングワインなど、様々なタイプのワインが造られている。和食ブームの海外でも注目を集めており、世界市場への販路拡大にも取り組んでいる。
本県の清酒製造業は、富士山、南アルプス、八ヶ岳などの良質な地下水と、内陸型の冬の厳しい気象条件に恵まれ、伝統を忠実に守りながらも、新しい日本酒作りを行っている。
県酒造協同組合が独自の基準による「山梨県原産呼称日本酒」認定制度を創設し、県産日本酒の品質向上や消費者へのPR強化を図るとともに、東南アジアなど新たな海外販路の拡大にも積極的に取り組んでいる。
菓子、製麺、漬物、味噌、醤油、ミネラルウォーター等が生産されており、その中でも本県のミネラルウォーター生産量は、日本ミネラルウォーター協会の統計によると都道府県別で第1位であり、国内生産量の約40%を占める。
本県の印章業は、1800年頃、御岳山系にて良質で巨大な水晶鉱が発掘されたことから、水晶加工として盛んとなった。水晶等の鉱物をはじめ、ツゲ、水牛などの印材でも印章が創られるようになり、江戸時代の文献にも甲府の印章として記されている。さらに、1873年の太政官布告によって、急速に実印の需要が高まり、「甲州手彫印章」として国の伝統的工芸品に指定されるなど、山梨の工芸品として全国に知られるようになった。現在では、印章彫刻だけではなく、ケースの製造や販売等、印章に関連した様々な事業者が活動している。
本県における企業立地の動向を平成30年工場立地動向調査(速報)(※1)でみると、工場立地件数は13件、立地面積は19ヘクタールとなっており、前年に比べ件数は3件(30.0%)の増、面積は8.6ヘクタール(83.5%)の増となっている。
全国の動向をみると、工場立地件数は1,103件、立地面積は1,224ヘクタールで、前年に比べ件数では89件(8.8%)の増、面積は81ヘクタール(6.2%)の減となっている。
都道府県別でみると、工場立地件数、愛知県(立地件数77件)立地面積は茨城県(立地面積147ヘクタール)がそれぞれ最も多く、本県は全国順位では件数で26位、面積で21位となっている。(※1)工場立地動向調査について
工場立地動向調査は、工場立地法に基づき昭和42年から経済産業省が実施している調査であり、調査対象は全国の製造業、電気業(水力発電所、地熱発電所を除く。)、ガス業及び熱供給業のための工場又は事業場を建設する目的をもって取得(借地を含む。)された1,000平方メートル以上の用地である。
昭和60年からは研究所(民間の試験研究機関で、主として前記4業種に係る分野の研究を行うものに限る。)の用地についても併せて調査を行っている。
本県の立地動向を業種別にみると、件数は金属製品、食料品がそれぞれ3件で、プラスチック製品、電気機械がそれぞれ2件、木材・木製品、化学、その他製造業がそれぞれ1件である。また、全国の動向をみると、件数は金属製品が176件と最も多く、次いで食料品が152件、輸送用機械が132件の順となっている。