ここから本文です。
てぼりいんしょう・てぼりすいしょういん(こうしゅうてぼりいんしょう)
御岳山系で水晶鉱が発見、発掘されたことから始まった手彫印章。その後、水晶印はもとより、ツゲや水牛などの印材も加わり、現在では水晶などの貴石や、牙、角、木類などのれき材、やわらかい石材が使用されています。
主な産地
甲府市、市川三郷町、身延町、他県内全域
指定年月日
平成6年10月(山梨県郷土伝統工芸品)、平成12年6月(国指定の伝統的工芸品)
主な原料
水牛、象牙、ツゲ、水晶ほか
山梨県における印章業の発祥は、御岳山系に良質で巨大な水晶鉱が発見・発掘されたことから始まりました。1837(天保8)年、甲府近郊の御岳に水晶加工工場が設立され、以来数多くの加工業者および加工技術が誕生。水晶印材と同時に板木師の技術を加えて彫刻技術が発達し、ツゲや水牛などの印材も発達していきました。
1854(嘉永7)年には「甲府買物独案内」「萬註文帳」などに、江戸時代より印章業が存在したことが記されています。古文書における印章については、1650(慶安3)年に下部町湯の奥金山の文献に、代官、役人の捺印が記された物が数多くありました。
1873(明治6)年、太政官布告により、一般市民の間に急速な印章需要が起こったことから、山梨県の印章業はさらに勢いを増していきました。峡南地域の市川三郷町においては、現在に至るまで印章製造と印章関連産業が町の基幹産業となっています。
甲州手彫印章は、実印、認印、銀行印、法人印及び公印など、日常生活で用いられている多種の印章を生産しています。原料は、柘植、水牛及び水晶を古くから使用しています。
印面調整、印稿、字割、字入、荒彫、仕上げなど多岐にわたる工程で、昔ながらの道具を使い、丹念に手作業で作られています。
字入や仕上げなどは熟練を要する作業であり、これらの手作業を経た印章の印影は唯一無二の華やかな趣があります。
山梨県では水晶原石が採れたことから水晶貴石細工が盛んで、特に水晶の手彫印章は、山梨県以外の地域では、ほとんど作られていません。
伝承されてきた技術と職人ごとに異なる技巧で作られる甲州手彫印章は、ふたつとして同じものはない唯一無二の一品に。
印面の凸凹を平らにする
文字・書体を選定し紙に完成時の文字を書く
彫刻文字の配置・配分をする
印稿の文字を見ながら印面に直接、左文字(逆文字)を書く
親指をテコとして起底刀(きていとう)で彫る
印面に生じたケバ等を取り除き平らにする
印面に墨を塗り、判差刀(はんさしとう)で文字を整える
捺印し、不備な箇所を修正する
山梨県印章店協同組合
住所
山梨県笛吹市石和町四日市場1569
電話番号
055-263-7240
ファクス番号
055-263-7240