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ページID:71615更新日:2019年10月11日
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PC0044 県指定 有形文化財 絵画 東都名所 目黒不動之瀧
東都名所 洲さき汐干狩 |
平成16年5月6日指定 所在地 笛吹市御坂町成田1501-1 所有者又は管理者 山梨県・山梨県立博物館
甲府の小正月の道祖神祭は、江戸中期以降の甲府商人の隆盛に伴って「当国一大盛事」と称されるほど盛大であった。さらに幕末には、名所絵や武者絵などを描いた長大な飾り幕を町内の軒先に巡らせる独特の祭りに発展した。各町ごとに画題を決め、江戸の浮世絵師や京都の絵師などに幕絵の制作を依頼して、趣向と贅をこらして競い合った。その中でも注目されるのが、初代および二代歌川広重の幕絵である。 初代広重が天保12年(1841)、緑町1丁目の依頼を受けて甲府を訪れ、「東都名所」を制作した。20年余り経て、使用によって破損した旧い幕絵に代わるものとして、元治元年(1864)、二代広重が来甲して補作したのが「東都名所 洲さき汐干狩」である。 この2張の幕絵は、いずれも約一反分の麻布を5枚接ぎ合わせて1枚の大きな幔幕(まんまく)を作り、上下に雲形を藍で先染めしてから、墨の濃淡で概形を描き、岩絵具などを用いて彩色している。「東都名所 目黒不動之瀧」では、二条の瀧が落ちる池や山門の屋根などが配され、目黒不動に参詣する人々を混じえた広々とした景観が展開している。「東都名所 洲さき汐干狩」は、汐干狩りでにぎわう洲崎の広大な海浜風景で、中央手前に女性と子供らの姿を大写しし、背後に弁天社の社殿を大きくとり、左右奥にも人物を小さく配し、さらに左端に近接拡大した船を配することで、遠近的な効果を出している。 これらの幕絵は、初代広重、二代広重の画業の一端をかいま見ることのできる資料であるとともに、幕末の甲府道祖神祭の盛大さと、甲府町人の積極的な江戸文化吸収の実態を物語る数少ない資料の一つとして極めて貴重である。
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