更新日:2024年12月19日
ここから本文です。
山梨県では、県内在住の大学生を対象に「自分らしく暮らし続けられる山梨を考えるワークショップ」を開催。参加者たちは感じている山梨県の課題を自由に語り合い、具体的な解決アイデアを議論した。この記事ではワークショップでの大学生のリアルな声や、県内企業への就職を決めた大学生の想い、就職を後押しする県の支援制度などを紹介する。
山梨県では、2024年9月に人口減少危機対策の一環として、大学生を対象にした「自分らしく暮らし続けられる山梨を考えるワークショップ」を開催。県内在住の大学生16名が参加した。
ワークショップの後半では、具体的な解決アイデアを班ごとに検討。どの班も「働きたい場所が見つからない」という課題に焦点をあてていた。大学生にとっては差し迫った自分ごとの課題なのだろう。
各班のアイデアはどれもユニーク。A班はランダムに行き先を決める「地域1dayインターン」を提案し、地場産業を知る機会にしたいと話した。B班のアイデアは「就活感ゼロツアー」。美味しい食事やお土産を楽しみながらカジュアルな雰囲気で県内企業の魅力を知ろうという試みだ。C班からは、山梨県で就活をしてくれた学生に地域限定で使えるポイントや商品券を発行する仕組みの提案があった。
参加者からは「みんな同じような課題を感じていることがわかった」「自分たちでも解決策を考えられることがわかった」といった感想が聞かれた。
ワークショップには、来春から山梨県内の企業で働く予定の大学4年生も参加していた。話を聞くと、山梨県で働く魅力が見えてきた。
Kさんは新潟県出身。小学校から山梨県在住で、幼少期は父親の仕事の都合で転勤を繰り返したという。「様々な地域の魅力に触れる中で、地域の隠れた宝を発掘し、発信する仕事に携わりたいと考えるようになりました」
大手企業が集中し、職種の選択肢も豊富な東京都へ就職する友人が多い中、Kさんは小学生の頃から暮らし、愛着を深めた山梨県に残ることを選んだ。
「県外で地域活性化に取り組む企業への就職も検討しましたが、山梨には埋もれた魅力がたくさんあり、もっと多くの人に知ってもらいたいなと。そう思った時、山梨の企業に就職すること自体が、この地域への貢献になると考えました」
幼い頃に引っ越してきた時、地域の人々が温かく迎え入れてくれたことも記憶にあるそうだ。また、将来を見据えた生活環境としても高く評価している。
「山梨は子育て支援に力を入れていると聞きます。自然豊かで公園も多く、この地で結婚したら、子どもをのびのび育てられる環境も大きな魅力です」
Aさんは、山梨県で生まれ育った。ゼミの先生の紹介で県内企業への就職を決めたという。周囲には、県外就職を希望する人も多かったそうだ。
「県外就職を選んだ友人たちも、いつかは山梨県にUターンしたいと話しています。私の場合、尊敬する先生から山梨県の企業を紹介されたのが決め手でした。信頼できる人からのアドバイスは、進路選択において大いに参考になります」
まとめると、2人が山梨県で就職を決めた理由は大きく3つ。
1.地域への深い愛着と貢献したいという思い
2.暮らしやすく子育てにも適した生活環境
3.信頼できる人からの情報や紹介
働く場所を選ぶことは、単にキャリアを選ぶというだけでなく、自分らしく暮らす環境や自分自身の生き方を選ぶことにもつながる。まずは、信頼できる先達の体験談を聞いたり、地域の情報サイトを詳しく調べたりすることも、山梨県での就職を考える第一歩になりそうだ。
山梨県では、県内で就職する人のキャリアアップを後押しする様々な支援制度を用意している。以下はその一例だ。
山梨県の企業で働く人を対象に、DX講座やコミュニケーション講座、経営マネジメント講座など、様々な講座を開催している。山梨県では、働き手のスキルアップを企業の生産性向上や収益アップにつなげ、賃上げによってそれを働き手に還元しようという「豊かさ共創の好循環」を目指している。
理工系の高専、大学、大学院卒業後3年以内で、県内に事業所を有する機械電子産業に就職した人が対象業種企業に就職し、県内で一定期間従事した場合に、卒業前2年間に貸与を受けた奨学金(既卒者の場合は返還残額)の返還を支援する。
さらに、県内中小企業の人材確保と若者の県内定着を促進し、出生率向上につなげるため、高専・大学・大学院・専門学校・短大を卒業した人のうち、令和7年4月以降に就職する35歳未満で、県内に事業所を有する全業種の中小企業に就職した人を対象とした奨学金制度も新設。
山梨県が運営している就職に役立つポータルサイト。直近で開催される「合同就職説明会」や「就職セミナー」「インターンシップ」などのイベント情報を発信している。
こうした支援制度は山梨県での就職を考える学生にとっても魅力的な後押しになるだろう。
今回のワークショップ取材を通じて、大学生にとって働く場の充実が地域の魅力として重要だということを再認識した。私自身、同じ課題感から県外で就職したが、30年近く経った今、大学生の提言や県の支援制度の拡充など、この課題に取り組む新たな動きが生まれていることに希望を感じた。若者の声に耳を傾け、官民一体となって取り組むこうした動きによって、山梨県はより魅力的な地域へと変革を遂げていきそうだ。
取材・文:古屋江美子(山梨県甲府市出身・やまなし大使)
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
トップ > 組織案内 > 人口減少危機対策本部事務局 > 人口減少危機対策企画グループ > 山梨県人口減少危機対策特設サイト > 特集記事一覧 > 山梨県で魅力的な仕事や就職先をどう見つける?ワークショップで現役大学生がアイデアを議論