骨髄移植(骨髄バンク)(峡南保健福祉事務所)
骨髄移植とは、白血病や再生不良性貧血などの病気によって、正常な造血が行われなくなってしまった患者さんの骨髄幹細胞を、健康な方の骨髄幹細胞と入れ替える(実際は骨髄液を点滴静注する)ことにより、造血機能を回復させる治療法です。白血病、再生不良性貧血などの病気は、骨髄移植により正常な造血機能が回復することが知られています。患者に骨髄移植ができるには、白血球の型(HLA型)が適合しなければなりません。HLA型が一致しないと拒絶反応のなどが起こり成功率が低くなります。しかし、HLA型の組み合わせは数万通りあります。そこで一致する確率を高めるために、多くのドナーが必要となるのです。
日本では「骨髄バンク事業」が1992年から開始され、これまでに多くの患者さんを救う実績をあげています。しかし、日本で骨髄移植を必要とする患者さんは、毎年少なくとも2,000人以上います。ドナー候補者が見つからない患者さんが、約2割にものぼります。一人でも多くの患者さんを救うために、一人でも多くのご協力が必要です。
なお、骨髄とは、腰や胸の骨の内部にある海綿状の組織のことです。血液はここでつくられます。骨髄液で満たされていて、その液体の中には、血液成分のもとになる骨髄幹細胞(造血幹細胞)が含まれています。骨髄液がつくる主な血液成分には、体内に酸素を運ぶ「赤血球」、病原体から身を守る「白血球」、出血を止める「血小板」などがあります。
骨髄移植が対象となる病気
- 白血病
血液をつくる細胞の異常で、ガン化した血液細胞だけが増え、正常な血液がつくられなくなる病気
- 再生不良性貧血
血液をつくる骨髄幹細胞の機能が低下し、血液成分が極端に少なくなるため、出血や、感染、貧血などが問題となる病気
- 先天性免疫不全症候群
身体を守る免疫機能が、生まれつき低下しているため、感染症にかかりやすくなる病気
疾患別の血縁者間における治療成績(5年間非再発の生存率)
- 重傷再生不良性貧血70~90%
- 慢性白血病40~80%
- 急性白血病30~70%
- 先天性免疫不全症候群など50~80%
骨髄バンクのドナー登録
骨髄バンクへのドナー登録できる方
- 骨髄提供の内容を十分に理解している方
- 年齢が18歳以上、54歳以下で健康な方
- 体重が男性45kg以上/女性40kg以上の方
ただし、骨髄を提供できるのは、年齢が20歳以上、55歳以下の方で、適合検索が開始されるのは20歳からです。コーディネートの対象とならなかった方は、満55歳の誕生日で登録取り消しになります。登録した日(採血日)の年齢が54歳で、満55歳の誕生日までの期間が10日間以内である方は、適合検索の対象とならない場合があります。これは、HLA型の検査結果などがデータベースに登録されるまでに最長10日間を要するためです。
ドナー登録後の健康状態によっては、コーディネートを進めることができないこともあります。また、骨髄提供にあたっては家族の同意が必要です。
次の方はドナー登録をご遠慮ください
- 病気療養中または服薬中の方(特に気管支ぜんそく、肝臓病、腎臓病、糖尿病など、慢性疾患の方)
- 悪性腫瘍(がん)、膠原病(慢性関節リウマチなど)、自己免疫疾患、先天性心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの病歴がある方
- 悪性高熱症の場合は、本人・ご家族とも病歴がある方
- 最高血圧が151以上または89以下の方、最低血圧が101以上の方
- 輸血を受けたことがある方、貧血の方、血液の病気の方・ウイルス性肝炎、エイズ、梅毒、マラリアなどの感染症の病気の方
- アレルギーがある方で、食事等により呼吸困難などの症状が出たことがある方や、高度の発疹の既往がある方
- 椎間板ヘルニア等で腰に手術を受けたことがある方
- 過度の肥満の方(体重kg÷身長m÷身長mが30を超える方)
ドナー登録から骨髄移植までの流れ
ドナー登録までの流れ
- ドナー登録の条件をお読みになり、条件を満たしているかどうかをご確認ください。
- ドナー登録には、パンフレット「チャンス」をお読みいただくことが必要です。登録の前に、内容をよくご理解ください。
- お近くの登録窓口か、全国各地で行なわれているドナー登録会にお越しください。
- 会場で登録に必要な時間は約20分です。窓口ではドナー登録受付に関する説明と申し込み手続きを行います。必要事項記入済みの登録申込書を持参した場合は、採血のみとなり、時間も15分程度となります。
- 申し込み用紙にご記入いただいた後、腕の静脈から2mLを採血し、HLA型(白血球の型)を調べます。検査に費用はかかりません。採血した血液で遺伝子(DNA)検査を行い、HLA型を調べます。なお、HLA型はお教えしません。
- 後日、骨髄データセンターからドナー登録確認書をお送りします。ドナー登録された方のHLA型と、患者さんのHLA型を定期的に適合検索します。海外の骨髄バンクから依頼された患者さんとも検索を行います。この間は、年2回、骨髄バンクニュース(骨髄バンクからのお知らせ)をお送りします。
骨髄提供までの流れ
- あなたの白血球の型(HLA型)が、患者さんと適合した場合は、ドナー候補者の1人として選ばれたことを骨髄バンクからご連絡します。
- 骨髄バンクから送られる質問票にお答えください。その後コーディネーターとの面談があり、骨髄提供に関する詳しい説明があります。
- 骨髄移植を成功させるために、さらに詳しい血液検査と健康チェックを行います。DNAタイピングという方法で精密な適合度を確認します(確認検査)。
- ご家族の同意を含めた最終的なご本人の意思が確認されます(最終同意)。
- 安全な採取に備えて健康診断が行われます(術前健診)。
- 骨髄液の採取に伴う貧血を防止するために、事前にドナーご本人の血液(自己血)を採取し、骨髄採取時の輸血用に保存しておきます。
- 骨髄提供には入院が必要です。骨髄採取の前日か前々日に入院していただきます。通常4~5日で退院できます。
- 骨髄採取は全身麻酔下で行われます。骨髄液は腰骨から通常500~1000ml採取します(骨を切るのではありません)。
- 採取後は、通常2~3日で退院できます。
登録窓口
骨髄バンクへの登録窓口は、峡南保健所にも設置されており、毎週月曜日午前中に承ります。事前の完全予約制になっております。一人でも多くの方の登録をお願いします。
骨髄移植についての問い合わせ先(保健所以外)
(財)骨髄移植推進財団電話:0120-445-445
山梨県医務課電話:055-223-1480
関係機関へのリンク
医務課「骨髄移植と骨髄バンク」
財団法人骨髄移植推進財団「骨髄移植推進財団」