遺跡トピックスNo.0377_丘の公園14番ホール遺跡～長大な石槍で狩りをする人々の15000年前の石器作り工房跡～

0002甲ッ原遺跡-埋甕-

0009横針前久保遺跡-石器-

0018金生遺跡-中空土偶-

0031天神遺跡-硬玉製大珠-

0050天神遺跡-石匙-

0336天神遺跡-集落跡-

0057丘の公園第2遺跡-石器-

0134丘の公園第2遺跡ほか-陥し穴-

0075原町農業高校前遺跡-縄文土器-

0076原町農業高校前遺跡-縄文土器-

0109原町農業高校前（下原）遺跡-陥し穴-

0115原町農業高校前遺跡-人面装飾付土器-

0137原町農業高校前遺跡-人面装飾付土器-

0094清里バイパス第1遺跡-陥し穴-

0112海道前C遺跡-人面装飾付土器-

0254海道前C遺跡-抽象文土器-

0138甲ッ原遺跡-縄文時代前期初頭の住居-

0142金生遺跡-耳飾り-

0169甲ッ原遺跡-石皿とすり石-

0212甲ッ原遺跡-琥珀垂飾について-

0294甲ッ原遺跡-漆が塗られた土器片-

0405甲ッ原遺跡-特殊脚付鉢-

0226塩川遺跡-中世の調理器具-

0236天神遺跡-日本最古のヒスイのペンダント-

0237酒呑場遺跡-マメの圧痕-

0308酒呑場遺跡-火焔型土器-

0316酒呑場遺跡-産まれる縄文人-

0319酒呑場遺跡-海へのあこがれ-

0239甲ッ原遺跡-縄文時代前期初頭の住居跡と土器-

0271金生遺跡-鉄釉兎形水滴-

0272中込遺跡-絡条体圧痕文土器-

0315郷蔵地遺跡-敷石住居-

0323金生遺跡-縄文ランドスケープ-

0328酒呑場遺跡-酒呑場遺跡で見つかった『謎』の土器片-

0399酒呑場遺跡-豊かな縄文時代中期文化を代表する683点の出土品-

0338柳坪遺跡-縄文時代中期の土器-

0377丘の公園14番ホール遺跡-長大な石槍で狩りをする人々の15000年前の石器作り工房跡-

0380日影田遺跡-住居跡と炉-

遺跡の紹介・概要

丘の公園14番ホール遺跡は、標高1150mの高原にある縄文時代草創期初頭の15000年前頃の石器製作工房跡で、石槍を中心とする約3500点もの石器・石片が出土し、この内40点が山梨県指定文化財となっています。

昭和59年（1984）に遺跡保存のため試掘調査を行い、範囲が直径約30mであることを確認しました。丘の公園清里ゴルフ場内にありますが、現在は駒ヶ岳（こま）コースの5番ホールに改称されています。コース北端のグリーンに向かって左側の森の中に保存されています。

• 所在地：北杜市高根町念場原（丘の公園清里ゴルフ場内）
• 時代：縄文時代草創期初頭
• 報告書：山梨県埋蔵文化財センター調査報告第8集
• 丘の公園14番ホール遺跡範囲確認調査報告書1985（S60）
• 調査機関：山梨県埋蔵文化財センター
  

森の中の発掘調査（植林されたカラマツ林）

石槍を中心とした石器

出土した石器は、石槍38点と最も多く、削器（さっき）11点、石錐（いしきり：穴をあける道具）2点があります。そして、3500点のほとんどは、主に石槍を作る時にでた石片です。

石槍の形をみると、まず10cmを超える大型品が注目されます。柳の葉のように細長く、厚みがあります。この形の石槍は、本の木型（もとのきがた）という名前を持ち、新潟県津南町にある本の木遺跡を代表例とし、中部・関東地域に多く出土します。石材は珪質頁岩（けいしつけつがん）で、奥秩父山地西部に産地が知られています。

中・小型の石槍は2～6cmの木葉形で、石材は珪質頁岩、黒曜石が主で、他に安山岩が1点あります。黒曜石は八ヶ岳西部に産地がありますが、つぶ状の石が混じっており、麦草峠周辺から産出する黒曜石に特徴が似ています。

丘の公園14番ホール遺跡の人々は中部・関東地域を生活圏とし、圏内の石器石材産地と石器製作場所、そして狩場をめぐりながら移動生活をおくっていたと考えられます。

石槍（いしやり。槍先に付けられた狩りの道具。左端が本の木型で長さ10.5cm）

削器（さっき。木や骨を削るための道具。左上端が長さ6cm）

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