トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0378県指定史跡甲府城跡ー輪宝
ページID:55140更新日:2017年5月18日
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県指定史跡甲府城跡一覧
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県指定史跡甲府城跡は、築城期の石垣が良好に残る史跡であり、平成2年から石垣の改修や門・塀・櫓の復元などが進められてきました。輪宝はその史跡内で発見されました。詳しくは甲府城研究室で紹介していますので、ぜひご覧ください。 輪宝(りんぽう)の紹介輪宝とは、地鎮祭(じちんさい:土木、建物などで、基礎工事に着手する前、その土地の神様を祀って工事の無事を祈る儀式)に用いられた道具です。甲府城跡北東部に位置する稲荷櫓(いなりやぐら)の復元工事に先立つ発掘調査で、平成8年に5点、平成13年に1点の計6点が出土しました。寛文(かんぶん)年間(1661~1673)に建て直された稲荷櫓の遺構から出土したので、輪宝は江戸時代前半に作られたと考えられます。 所在地:甲府市丸の内1丁目 時代:安土桃山時代~江戸時代(甲府城築城から廃城までの時代) 報告書:山梨県埋蔵文化財センター調査報告書 第155集甲府城跡7.1997(H9) 第208集県指定史跡甲府城跡稲荷櫓台石垣改修工事報告書2003(H15) 第222集県指定史跡甲府城跡上巻舞鶴城公園整備事業に伴う埋蔵文化財等の総合調査・整備報告書2005(H17) 調査機関:山梨県埋蔵文化財センター 輪宝の出土状況 こちらのページで稲荷櫓について紹介しています。 出土した輪宝の特徴出土した輪宝の最大径は約17cm、中心に0.4cmほどの孔(あな)が開いており、孔の周囲には金箔が施されていました。この孔は、輪宝を棒の先端に差し込むためのもので、輪宝を付けた棒は土中にさされていたと思われます。 このことから、稲荷櫓建築の際に地鎮の儀式が行われたことが分かり、櫓が無事完成するよう当時の人が祈願したものと思われます。 輪宝(りんぽう:1点を山梨県立考古博物館で展示しています。) 輪宝の配置に対する考察ところで、輪宝の配置について、平成8年の発掘調査では5点の輪宝が出土し、4隅に輪宝を1点ずつ埋めることで四方に結界(けっかい:邪気が入らないように魔よけをする範囲)をつくり、4隅の対角線が交わる点に5点目が置かれたと考えられていました。図の赤色印の輪宝は、当時対角線の交わる点に置かれ、その後動いたためこの位置で出土したと推測されました。 しかし平成13年に6点目の輪宝(図中黄色印)が見つかったことで、当時どのような配置で埋められたのか、新たな推測ができるようになりました。輪宝はかつて建物の八方に1点ずつ埋められており、残りの2点は明治時代以降に掘り出されてしまった、と現在は考えられています。 このように、発掘調査が進むことで、これまでの推測に新たな見解が加えられることも考古学では珍しくないのです。 稲荷櫓輪宝出土位置図 |