トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0389県指定史跡甲府城跡〔甲府市〕
ページID:57847更新日:2017年5月16日
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県指定史跡甲府城跡一覧
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甲府城跡では平成17年度から未修理の石垣を対象に、詰石などの補修工事を進めています。 天守台や本丸を中心に贅沢に残る甲府城築城期の野面積み石垣は、何と言っても魅力的で文化財的価値の高い石垣です。しかし、長い年月の中で、石垣石材の隙間となる目地に詰められていた詰石が抜け落ちることがあります。 山梨県では甲府城跡を安全に見学していただけるよう、またその高い価値を永く後世に残すために、詰石の補修工事を進めています。 詰石の補修工事詰石を詰めるといっても簡単な作業ではありません。事前に調査をおこない、どの様な形や大きさの詰石が使われ、どの様に配石されているかなどをあらかじめ調べます。なぜなら、同じ甲府城跡の石垣でも少しずつ特徴が違うからです。これは石垣を積んだ時の職人さんの癖や材料の影響を受けているものと考えられます。 このような特徴も文化財としての価値ですから、石工さんたちも一生懸命勉強して補修工事をする石垣の特徴を損なわないよう意見交換しながら日々作業をしています。 石工さんたちの補修方法の検討作業の様子 石垣の目地から出土石垣の目地をクリーニングしていると、瓦や釘などが発見されることがあります。今回はその中から線刻画をご紹介します。 上:出土した丸瓦下:石製品と鉄製品「県指定史跡甲府城跡平成23年度調査・整備報告書」p46~47より 詰石に描かれた線刻画(せんこくが)線刻画とは聞きなれない言葉ですが、甲府城跡築城期の石垣石材や詰石などに描かれた細い線画のことをいいます。 新しい落書きのようにも見えますが、線刻画が描かれているのは石垣石材の背面や底部など簡単に落書きが出来る場所ではないため、石垣を積んだ当時に描いたとしか考えられません。 甲府城跡では、石垣石材や本丸などの石切場で大変多くの線刻画が確認され、陰陽道(おんみょうどう)の呪符(じゅふ)によく似ていることから、当時の石工さんが災い除けのために描いたと考えています。
天守曲輪南面から出土した線刻画
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ちょっと残念な話・・・線刻画は、420余年前の甲府城築城に関わる石工さんたちの思いや願いを伝えてくれる貴重な発見です。一見落書きのようにも見えますが、実は深い意味があるのです。 しかし、大切な文化財である甲府城跡の石垣の所々に現代の落書きが・・・ 同じ落書きでもこちらは残念な落書きです。落書きは、文化財に傷をつけ、見学する人も気持ちよく散策することができません。あまりのひどさに見かねた地域の子供たちが、平成22年に一生懸命落書き消しをしてくれたことがあります。 ぜひ甲府城跡の石垣を大切にお願いします。 子供たちによる落書き消しの様子
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