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ページID:61548更新日:2017年5月15日
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県指定史跡甲府城跡一覧
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(1)甲府城の石垣甲府城跡は、武田氏滅亡後、甲斐国が豊臣秀吉の支配下にあったころ(1590~1600年頃)に築かれたお城です。石垣は巨石をほとんど加工することなく積んでいく「野面積み」という技術で造られました。「野面積み」は、大きく割り取られた以外は細かな加工がされていない石材を積んでいく石積み技術で、石垣造りの歴史の中でも特に古い時期に用いられていました。不揃いな巨石がドッシリと堅牢に組まれたこの石垣は、400年ものあいだ風雪に耐えて当時の姿を今に残す貴重な文化財です。石垣には大量の巨石が用いられています。例えば甲府城稲荷櫓(いなりやぐら)の石垣に用いられた石材には2tを超える重さのものがあるほどです。それほどの大きな石垣石材は、いったいどこから運ばれてきたものなのでしょうか。 例えば江戸城の石垣に使われた石材は、遠く伊豆半島などから運ばれてきたことが知られています。甲府城の石垣に用いられた石材も、やはり遠方から運ばれてきたものなのでしょうか…? 所在地:甲府市丸の内1丁目地内 時代:中世~近世 調査機関:山梨県教育委員会 〔写真1〕甲府城跡野面積みの石垣 (2)甲府城の石垣に使われた石材石材の産地について考える前に、まず何という石材が使われているのかを見てみましょう。 一般的に、お城の石垣には、花崗岩や安山岩、砂岩、凝灰岩などの様々な石材が用いられます。1つのお城の石垣に、異なる種類の石材が使われる場合もあります。 甲府城の石垣に用いられているのは、すべて安山岩とよばれる火成岩(マグマが冷えて固まった石)の一種です。実はこの石材、甲府城内や、甲府城北側の愛宕山で採取することができるのです。 (3)甲府城内でみられる安山岩の岩盤甲府城内を歩いていただくと、地表に露出した安山岩の岩盤をいたるところに見つけることができます。写真2は、甲府城跡鍛冶曲輪でみることのできる安山岩の岩盤です。同じような景観が、甲府城跡北側の児童公園にも見られます。 表面はひび割れて、いくつもの大きな岩のかたまりに分割されています。その一つ一つの岩のかたまりは、ちょうど甲府城の石垣に使われている石材ほどの大きさです。甲府城が築かれた一条小山(いちじょうこやま)とよばれる小高い丘の範囲には、このような安山岩の露頭が何カ所もあったものと思われます。愛宕山や甲府城内のこういった露頭から採取できる石材を利用して、甲府城の石垣が築かれたと考えられています。 甲府城の石垣に使われた石材は、甲府城の近隣や、まさに甲府城が築かれたその場所から採取されていたのです。 〔写真2〕甲府城跡鍛冶曲輪にある石切り場跡
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