ここから本文です。

富島英樹

シルバーの可能性は無限大。
手作りでしかできない造形にこだわりたい。

繊細な造形が光るシルバーと美しいレアストーンを融合させたAtelier TZ(アトリエ・ティズ)のジュエリー。

代表の富島氏は宝飾加工職人でありながら、デザインコンテストで多数の受賞歴を持つ。

「作り手としてのアイデンティティを確立したいんです。」

そう語る富島氏は、手作りの一点物にこだわり、

デザインから石留め・仕上げまでのほとんどのプロセスをたった一人で手掛けている。

カッコいいシルバージュエリー着けてますね!

コレ、自分で作ったんですよ!ペンダントとリング。仕事するときはさすがにリングは外しますけど、ペンダントはいつも着けてて愛用してます。そもそもジュエリーを作り始めたのも「自分が着けたいものを作りたい!」っていう気持ちがありましたから。やっぱり自分が着けたいと思うものを世に出していきたいというか、自分が欲しくなるようなものを作っていかないと。

ATZのジュエリーって音楽を感じますね。実際ヘヴィーメタルのポスターが壁にいっぱい!

でしょ(笑)?そのジャンルは25年くらい聴いてますから、そこから影響受けている部分はあるでしょうね。でもウチのジュエリーを買う方って女性の方が多いんです。意外でしょ?たぶん、綺麗な石を使ったものが多いからなんだと思います。僕は人に知られていない変わった石が好きで、例えば、これはレインボーヘマタイトっていう石なんだけど、偶然見つけて一目惚れしたんです(笑)。こういう石に出会ってインスパイアされて、そこから石に合うような地金のデザインを考えていくんですよ。

へぇ。石とシルバーがマッチして独特の雰囲気ですね。細か~い穴がたくさん空いているデザインがスゴイ!

それが自分の特徴っていうか得意なところです。ワックス(※1)で作ってるんだけど、その穴だらけの造形はかなり細かい作業だから難しいですよ。最近はパソコンの技術が進歩していてCAD(※2)を使ってPC上でデザインするじゃないですか。けど、そうやって作ると左右対称でキレイ過ぎちゃって僕には工業製品にしか見えないんです。やっぱりジュエリーはそうあってほしくないんですよ。だから、手作りで一点物であることが基本だと思ってます。僕はCADでは表現できない作品を作っていきたいんです。

(※1)ワックス:ロストワックス法の原型に用いる材料。ナイフ等で簡単に切削し造形できる。ロストワックス法とは、成形したワックスを埋没材で囲み、加熱脱ろうし、その空洞に溶解金属を鋳込む鋳造方法のこと。

(※2)CAD(Computer Aided Design):コンピュータを利用した設計。

このアシンメトリーなデザインは手作りだからこそですね!よく使う地金は?

やっぱりシルバーが多いですね。ていうか個人的にシルバーが一番好きです。自分でも着けてるくらい(笑)。シルバーの魅力はカラーのバリエーションが豊富なところなんです。わざと燻して黒くしたり、錆びたように見せたり、逆に磨いてピカピカに光らせて、シルバー本来の色を楽しんだり。同じシルバーでも色んな表現ができるわけですよ。あとは他の地金よりコストが低めなので、アートとして作品を作るときは材料費を気にしないで作れます。

なるほど。シルバーならではの魅力ですね。

ええ。でも最近は世間のシルバーに対する見方が変わってきてますよ。かつての「シルバー=チープなもの」っていうイメージはもう無くなりつつあります。ジュエリーをたくさん持っているリッチな年配の方も、プラチナとかゴールドとかいっぱいある中でシルバージュエリーを選んでいますから。地金の違いよりも作品としての出来上がりの良さで判断してるんじゃないかな。逆に言うと、作り手はシルバーでも高級感がある作品を作らなきゃならない。そうなると、やっぱり「手作りで一点物」ということになるんです。

まさにATZのジュエリーですね。ここまでの作品を作れるようになるのはどうしたら(笑)?

僕の場合は県立宝石美術専門学校を卒業してるんです。前からものづくりは好きだったんだけど、学校でデザインとかの勉強をしている内に本当にジュエリーが好きになりました。卒業してからは甲府市内のメーカーに就職しました。新商品を開発する部署なんですが、10年くらい企業内デザイナーとして働いてました。その間はデザイン画を描くことに専念して「作り」は全くしていなかったんです。けど、その内にどうしても作る方をしたくなって制作部に異動したんです。で、独立して今に至るというわけです。

へえ!デザイナーとしてのキャリアが長いんですね。

ええ。7、8年はデザイン画を描いてました。で、その時思ったのはデザイナーも作りの現場をしっかり勉強する必要があるということ。デザイン画はあくまでも想像でしかないんです。CAD使ってパソコンでデザインすると画面上では立体だけど、実物がどうなるかはやっぱり想像でしかない。だから、自分の手で作り上げていくっていうことを知る必要があるんです。

なるほど!これからも今のようなスタンスで?

ATZのファンがいてくれる限り、作り続けていこうと思ってます。東京でも年に数回個展を開くんですが、開店前から待っててくれる方がいるんですよ。ただ自分が好きで作っているものに共感してくれて、身に付けてくれる人が一人でもいれば、僕はやり続ける意味があると思っています。こういうファンを裏切らないためにも「手作りで一点物」というコアな部分は変えずに、作品を見れば作者が分かってくれるような作り手を目指してやり続けていこうと思ってます。

これからも富島さんならではのこだわりと個性を生かしたジュエリーを楽しみにしています。今日はありがとうございました。

2011年3月8日 インタビュー掲載

企業情報

名  称:Atelier TZ(アトリエ・ティズ)

住  所:山梨県笛吹市一宮町下矢作278-5

T E L:090-1200-9282

F A X:0553-47-3929

E-mail: ateliertz86@yahoo.co.jp

事業内容:  オリジナルジュエリーの制作・販売

        オーダーメードによるジュエリーの制作・販売

        原型制作 

        お手持ちのジュエリーの修理、リフォーム  

自社の強み:デザイン画の提案から、ワックスによる原型制作と製品の仕上げまで、

        又リフォーム等も行い、デザインから完成までをトータルでプロデュー

        スします。

  

 

sakuhin\1t01.jpg

ピュアマラカイトを使用したペンダント。

シルバーに施された繊細な加工に注目。

富島さんの世界観が凝縮されたリング

        

巷に溢れるスカル物とは一線を画すリアルな造形。

この手のリングにしては顔の向きも珍しい。

   

古代エジプト文字(Hieroglyphes)に見られるアンク(エジプト十字)を

モチーフに、トルコ石をセットしたペンダント。

 

SILVER Azurmalachite Diamond RING&PENDANT

         【NEW】 

シルバー、パール、ダイヤリング 

 

富島氏のワックス造形力は作品を見れば一目瞭然。

こうした道具を駆使し、一つひとつ手作業で理想の形に削り上げていく。

富島英樹

●1968年8月6日生まれ●山梨県立宝石美術専門学校研究科卒●老舗ジュエリーメーカーのデザイン室で10年間勤務●1999年アトリエ・ティズ設立●日本ジュエリーアート展入賞、インターナショナルパールデザインコンテスト入賞(社団法人日本真珠振興会主催)、ビエンナーレ日本ジュエリーデザイン展出品(銀座和光)など受賞歴多数●2004年から毎年、銀座のマインアクセにて個展を開催●社団法人日本ジュエリーデザイナー協会正会員、山梨宝飾デザイナー協会会員

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?