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ページID:490更新日:2024年4月26日
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当センターの令和6年度の試験研究目標および試験研究課題について、ご紹介します。
平成29年4月1日から旧畜産試験場と旧酪農試験場との組織再編により、新しく「畜産酪農技術センター」として本所(中央市)並びに長坂支所(北杜市)において、本県の畜産関係試験研究及び畜産生産振興業務に取り組んでいる。
本県の畜産は、県民の食生活の基礎となる畜産物の安定供給において重要な役割を担っている。また、果樹、野菜との複合経営による中山間地農業の活性化や、広大な牧草地や放牧風景による景観保全、さらには土づくりにおける堆肥の活用等を通して、循環型農業の推進にも大きく寄与している。
近年、国際情勢などを背景に穀物不足や原油価格の高騰により輸入飼料価格は上昇の一途が続いており、配合飼料の購入に依存した本県の畜産に大きな打撃を与えている。一方、生産・流通コストの増大や、担い手の高齢化や後継者不足による農業労働力の減少等、畜産を取り巻く環境は厳しい状況にある。
県では、令和6年1月に「やまなし農業基本計画」を新たに策定。生産者の更なる所得向上や地域を担う人材を確保・育成していくための基本理念や重点的施策などを明確化し、農業の成長産業化を図っていくこととした。当センターでは従前より、「本県農業の振興方向に沿った施策を実現する技術の開発」、「生産現場の課題解決を迅速に進める技術開発」「分野横断的研究・産学官連携の推進による効果的・効率的な技術の開発」を進めてきている。
このような状況を踏まえ、令和6年度には次の5項目の主要研究テーマを柱として、質の高い畜産振興を図るため、県内の試験研究機関や、国立研究開発法人、他県の試験研究機関、大学、民間企業等と連携しながら、施設・圃場等の資源を最大限に活用して、家畜の改良増殖、低コスト化・高品質化・環境保全等の技術開発を行い、また併せてアニマルウェルフェア理念に基づいた飼養管理やICT技術を活用した省力化技術等の試験研究に取り組んでいくこととする。
「甲州富士桜ポーク」「甲州地どり」「甲州頬落鶏」の生産拡大を図るため品種改良と増殖を行い、生産者へ優良な種畜を供給するとともに、精液や受精卵などを凍結保存し、良質形質の保全や疾病発生時の危険分散を図る。
畜産物の品質及び生産性向上のために、肥育豚および卵肉用鶏における飼料栄養成分の調整等による飼料費低減、肉質向上やアニマルウェルフェアに対応した飼養管理技術の改善、受精卵技術や検定成績等を活用した乳肉用牛の改良増殖など生産性向上技術及び飼養管理技術を開発する。また飼料作物の優良品種の選定を実施するとともに、生産性に優れる牧草新品種の導入を促進する追播技術を開発する。
本県の気候変動に対応した採卵鶏の飼養管理技術について検討するとともに、飼料作物においては気温の上昇に対応した暖地型牧草の選定試験について実施する。
地球温暖化の要因となっている温室効果ガスの削減を図るため、養鶏経営における排泄物由来の温室効果ガス(N2O)削減技術を開発する。
養豚経営における労力負担軽減と少人数でも効率的な経営の実践のため、カメラ画像を用いた豚の体重推定技術や行動把握技術を開発する。