フィラリア症
フィラリア症とは?
フィラリア(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)という寄生虫による疾患です。フィラリアは心臓や血管に寄生します。犬に多く、猫は少ないです。子虫はミクロフィラリアといいます。


どんな症状?
- フィラリアが心臓に寄生すると、心臓から肺に血液が送れず、肺に水がたまって咳をしたり、ゼエゼエと息苦しくなったりします。運動を嫌がるようになり、元気や食欲がなくなります。
- 心臓に負担がかかると肝臓や腎臓などのほかの臓器に血液を送りにくくなり、ほかの臓器もうまく働かなくなります。この段階になると、命に関わることもあります。
どうやって感染するの?
蚊を介して、ミクロフィラリアが寄生している動物から寄生していない動物へ感染します。感染後、ミクロフィラリアが成長して成虫になり、心臓や血管に寄生します。

予防法は?
- 蚊が現れてからいなくなるまでの期間(5~12月頃まで)、駆虫薬を投与します。
- 駆虫薬は成虫には効きにくいので、ミクロフィラリアが成虫とならないよう、確実に毎月投与する必要があります。
- ①口から食べさせるタイプ、②首の皮膚に垂らすタイプ、③注射で皮下に接種するタイプがあります。①、②は月に1回、③は年に1回投与します。センターでは①の方法をとります。

治療法は?
- 駆虫薬を投与してフィラリアを駆除します。
- 外科手術によるフィラリアの摘出もまれに行われます。
フィラリアに感染している動物を飼うためには?
- 治療法に記載されているような投薬が必要です。治療内容は、かかりつけ医に相談してください。年単位の投薬になることもあります。
- 駆虫薬を投与する際、ミクロフィラリアの死骸によるショック症状を起こさないよう、予防としてステロイド薬を併せて投与します。
- 成虫については、フィラリアと共生する細菌(ボルバキア)に対する抗生物質も投与します。一気に発生した成虫の死骸が血管に詰まるのを防ぐため、ボルバキアを死滅させることにより、フィラリアをじわじわ弱らせて少しずつ駆除します。
- 心臓やほかの臓器に負担がかかった状態が長いと、フィラリアがいなくなっても継続的に治療が必要になることがありますが、少数寄生や早期治療の場合、その後は普通に生活できることが多いです。
- センターには譲渡を待つフィラリア陽性犬もいますが、新しい飼い主がなかなか決まらないのが現状です。早期に適切に管理すれば普通と変わらない生活を送れる病気ですので、センターから犬を迎える場合は、ぜひご検討ください。


