トップ > まちづくり・環境 > リニア中央新幹線 > 山梨リニアファンクラブ > リニアファンクラブによせて(山﨑 友也)
ページID:64612更新日:2015年3月26日
ここから本文です。
鉄道写真家
1970年広島生まれ。鉄道写真専門のフォトライブラリーである「レイルマンフォトオフィス」代表。JRや私鉄各社のポスターやカレンダーの撮影をはじめ、TV出演や講師・講演など幅広い分野で活躍中。
2027年の開業を目指しているリニア新幹線。いよいよボクらの夢の超特急が現実化されるのも時間の問題となってきた。
そもそも我が国でリニアモーターカーの具体的な研究が始まったのは1962年だが、超電導磁石を用いた電磁誘導浮上案内方式を採用することを国鉄が発表したのは1970年のこと。すなわちボクが生まれた年である。
実際にボクがリニアの記憶として覚えているのは幼少期に見ていた絵本である。ページを開くと必ずといっていいほど「未来の新幹線はこうなる」というコーナーがあり、青い流線型がライトを照らして走っている絵が描いてあった。図鑑などではML-100という車両の写真があり、日本で初めて浮上走行に成功したということだった。その後、宮崎に実験線ができ、ML-500がなんと517kmという当時の世界最高速度をマークしたということは幼心にも衝撃だった。新幹線の倍以上の速度で走り、東京と大阪を1時間で結べる画期的な乗り物の出現は、その近未来的な形とともにボクの心を完全に奪っていった。
時は流れ、鉄道カメラマンとなったボクがはじめてリニアを撮影したのは、山梨リニア実験線ができた1997年のことだ。今までTVや本でしかみたことがなく、本物のリニアモーターカーを撮影できるとあってワクワクして出かけたものだ。しかし当時の新幹線「のぞみ」の最高時速300kmに体が慣れてしまっていたせいか、時速500km以上ですっ飛んできたMLX01の速度には到底太刀打ちできず、撮影は大失敗だったことを思い出す。リニアってこんなに速いんだと、ある意味、身をもって体験したものだ。
その後実験線が延伸され、撮影場所が見学センター付近以外でも撮れるようになったのは嬉しかった。ロケハンをしてまだみんなに知られていない頃からリニアの丘でも撮影して、良い写真が撮れたときなどは一人ほくそ笑んだりもしていた。今ではTVなどで紹介されてすっかり有名になってしまったが、南アルプスや八ヶ岳などのパノラマと一緒に見ることができるので行ったことのない人は是非訪れてもらいたい。しかも実験線の終点が近いので速度を落として走ってくるため、リニアモーターカーを絶景のなかでゆっくりと見たい人にはオススメである。その反面、鉄道カメラマン的にいうと速度が遅すぎて物足りなさを感じるほどではあるのだが。
ということで時速500kmのスピードを体験したいのなら、やはりリニア見学センターの「どきどきリニア館」が一押しである。大きな窓のある見学ラウンジや屋外見学テラスからは目の前を走るリニアモーターカーがばっちし見え、しかも通過を教えてくれるアナウンスまで流れるので至れり尽くせりである。とはいうもののあまりに速度が速すぎるので、撮影したいなら気合いを入れることが必要である。コツはスポーツモードなどで高速のシャッター速度を設定し、なるべく広角レンズで連写しないで撮ることだ。それでもボクらプロですら失敗するくらいなので、画面に写っているだけでも良しとしよう。
とにかく絵本のなかの世界だったことがリニア中央新幹線として現実のものとなるなんて、これほど素晴らしいことはない。車両やカラーリングは量産タイプになるとちょっと変わるのか、駅やホームはどんな感じなるのかなど興味は尽きず、2027年が一刻も早くこないかなぁと待ち遠しくて仕方がない。とはいうものの完成時には線路を覆ってしまうらしいので、そうなると走っているところの写真なんて撮れないじゃないか!それでもなんとかカッコ良く撮る方法はないものだろうか? ボクの今の一番の悩みはこれである・・・
(平成27年2月寄稿)