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ページID:8457更新日:2017年6月16日

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埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0067立石遺跡(たていしいせき)

曽根丘陵公園の遺跡

0028国指定史跡銚子塚古墳-保存修理事業1-
0040国指定史跡銚子塚古墳-保存修理事業2-
0045国指定史跡銚子塚古墳-保存修理事業3-
0096国指定史跡銚子塚古墳-立柱-
0103国指定史跡銚子塚古墳-木製品-
0110国指定史跡銚子塚古墳-火きりんぼう-
0159国指定史跡銚子塚古墳-木-
0318国指定史跡銚子塚古墳-鼉龍鏡-
0335国指定史跡銚子塚古墳-立柱2-
0374国指定史跡銚子塚古墳-壺形埴輪-
0407国指定史跡銚子塚古墳-突出部と周濠区画帯-
0391国指定史跡大丸山古墳-雪におおわれた前方後円墳-
0126稲荷塚古墳-銀象眼大刀-
03334月の中道古墳群-
0388かんかん塚古墳-県内最古の馬具-
0067立石遺跡-山梨最古の旧石器-
0211上の平遺跡-方形周溝墓群-
0299上の平遺跡-地震の痕跡-
0097東山北遺跡-火打ち金-
0192東山北遺跡-方形周構墓-
0290東山北遺跡-ウマの歯と骨-
0353東山北遺跡-鉄製品-
0247東山南遺跡-把手付椀-
0414鍋弦塚と『東山の碑』-

立石遺跡遠景

〔写真〕風土記の丘公園に登る国道139号線の路脇に遺跡があります。

所在地山梨県甲府市上向山町(旧中道町)

時代後期旧石器時代初頭(今から約3万年前)

調査主体山梨県埋蔵文化財センター

発掘調査期間平成元年1月30日~2月8日

 

中央高速道路の甲府南インターを出て、県立考古博物館前の国道139号線の交差点を右手へ曲がると、道は曽根丘陵を登って行きますが、しばらく行くと開けた平らな土地の景観が広がります。すぐに風土記の丘公園入口の標識が現れますが、その手前50mのところが立石遺跡の平成元年に調査した場所です。立石遺跡は昭和55年にも調査され、旧石器時代、縄文時代、古墳時代の集落が調査されましたが、今回は平成元年の調査についてみてみます。

立石遺跡石器集中

〔写真〕ローム層中の黒色帯と呼ばれる層の中から石器がまとまって発見されました

道路拡幅工事のために崩される桃畑の一部を掘り下げると、地表下1mほどの深さから石器が発見されました。石器は48点で、直径2mほどの範囲にまとまっていました。この中には、台形様石器や削器(さっき)といった加工した石器のほかに、石器を作る際に出た石くずもあり、石器づくりが行われていたことがわかります。

立石遺跡土層

〔写真〕遺跡の土層断面です。ローム層と呼ばれる細かいチリが長年降り積もってできた土層ですが、中央に黒色帯があります。この黒色帯の下半部から石器が発見されました。遺跡の年代を知るため、土層サンプルを採り、火山灰分析を行いました。

石器が出土した土層は、ローム層とよばれ、細かいチリが風に運ばれて長年にわたって降り積もったものです。ローム層は今から1万3千年より古い土層とされ、氷河時代の土層とされています。立石遺跡では、地表下20cmほどでローム層が現れ、50cmほどの褐色部分の下に厚さ30cmほどの黒色部分があります。石器は、この黒色帯(こくしょくたい)と呼ばれる土層の下半部から発見されました。

黒色帯の年代を知るため、土層のサンプルを採り、火山灰分析を行いました。細かいチリの中に、遠くから飛んできた火山灰が含まれていて、顕微鏡で観察すると発見できるからです。分析の結果、黒色帯とその上の褐色部分との境目に、鹿児島県の桜島湾が噴火した時の火山灰が発見されました。姶良Tn火山灰(あいらてぃーえぬかざんばい)、略してATと呼ばれる火山灰で、今から2万5千年前頃のもので、シラス台地を作り出した巨大爆発による火山灰です。

石器は、ATの下、約20cmほどの深さを中心に発見されましたので、2万5千年よりさらに古い時期であることが確認されました。また、石器の形から、約3万年前頃の後期旧石器時代初頭に列島各地にみられる台形様石器群の仲間と理解されています。

立石遺跡石器1

〔写真〕この台形様石器は、写真上側の先端部分がペン先のような格好に尖り、写真下側が加工されていて、槍先として柄に取り付けられて使われたと考えられます。珪質頁岩(けいしつけつがん)という石材で作られています。長さ4.5cmです。

立石遺跡石器2

〔写真〕この石器も台形様石器で、写真上側の先端部分が使用により刃こぼれしています。写真下側が加工されていますが、下端が折れてなくなっています。黒曜石(こくようせき)で作られています。長さ4cmで、折れているので本来は4.5cmほどだったでしょう。

立石遺跡石器3

〔写真〕この石器は、写真の左右が加工されていて、その部分を刃として、切ったり削ったりする工具として使う削器(さっき)という石器と考えられます。珪質頁岩製です。長さ5.5cmです。

発見された石器の内、加工されたものは3点あります。台形様石器(だいけいようせっき)は、2点あり、素材の石片の鋭い刃の部分を先端とし、その反対側を加工して柄にはめ込んで使う、槍先であろうとされています。

もうひとつ、削器(さっき)という石器があります。刃を加工してがんじょうにし、切ったり削ったりする工具として使われたと考えられています。

台形様石器は後期旧石器時代初頭の特徴的な石器で、石製の槍先がはじめて登場し、狩猟具が改良されたことがうかがえます。動物の群れを追い、槍を投げつけて狩りをするような、積極的で組織的な狩猟が開始されたのではないかと想像されています。狩猟活動の革命的変化がこの台形様石器に示されているのではないかと評価されています。

 

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