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ページID:4534更新日:2017年5月11日
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「火きりんぼう」登場!?火きり板出土!!古墳時代前期(今から約1600年前)の前方後円墳である銚子塚古墳の周溝からは、たくさんの木製品が出土しましたが、今回は2004年度の調査で出土した「火きり板」を紹介します。 木と木を摩擦して火おこしをするときに使われる道具には、回転させる棒状の「火きり杵」とその棒を受ける「火きり板」が欠かせません。銚子塚古墳から出土した火きり板は、板というよりも棒と呼んだほうが良いような形をしています。そこで、「火きりんぼう」と呼ぶことにします。
「火きりんぼう」のプロフィール現存の長さは7.8cm、幅1.7cm、厚さ1.5cm。水に浸かっていったためか、表面がやや黒っぽくなっています。向かって左端は折れたようになっています。臼は2箇所あって一つは未使用です。右側の使用された方をみると、直径約1cm、最大深さが約0.5cmの擂り鉢状をしていて、表面がツルツルしています。左側の未使用臼は、約0.9~1.5cmの範囲に最大深さ0.9cmの刻みがあります。両方とも、最大幅約0.4cmの溝が側面に刻まれています。 写真火きりんぼう この火きりんぼうはシャシャンボの木で出来ています。シャシャンボはツツジ科の常緑樹で、関東南部以西の本州・四国・九州・沖縄、台湾、中国などに分布しています。現在は、銚子塚古墳の周囲では見かけません。シャシャンボで作られた火きり板は、大阪府利倉遺跡で、古墳時代前期のものが出土しています。この遺跡からは、シャシャンボの火きり杵も出土しています。しかし、全国的にみても、火きり板の材は、針葉樹、とくに杉が多く出土しています。
写真シャシャンボ 所在地:甲府市下曽根町 時代:古墳時代前期 報告書:
調査機関山梨県教育委員会・山梨県埋蔵文化財センター 現代の火きり板現在、埋蔵文化財センターでは、出前支援講座の一つに、火おこし体験があります。5種類の火おこし体験ができます。その中で一番古く、弥生時代から行われていたと考えられる揉みきり式(きりもみ式)火おこしでは、火きり板に杉の木を使い、火きり杵には、うつぎの枝を乾燥して皮をむいたものを使用しています。この方法で火おこしをすると、速い人では、10秒以内で火だねができます。うつぎは、枝の中が空洞になっているために、火きり板の使用した跡が真ん中がでっぱたような形になります。銚子塚古墳から出土した火きり板は、擂り鉢のようにすり減っているため、火きり杵には、うつぎのような中空のものではない木が使用されていたことがわかります。 写真現代の火きり板 写真現代の火きり杵
引用・参考文献高嶋幸男・岩城正夫1981『古代日本の発火技術-その自然科学的研究』
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