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ページID:33962更新日:2017年5月8日
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甲州市の遺跡
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安道寺遺跡出土の土偶(どぐう) この土偶は、縄文時代中期(約4,500年前)の、山梨県下でも有数の集落遺跡の1つである、安道寺遺跡(甲州市)から出土したものです。現在は、山梨県立考古博物館の常設展示において、展示公開されています。 考古博物館に展示中の安道寺遺跡出土土偶 安道寺遺跡のこの土偶が語るもの今回、この土偶を話題にとりあげるにあたり、写真の撮影角度にとくに留意しました。それは、縄文時代にこの土偶をつくった人びとの、土偶に込めたであろう想いが、一番よく現れるようにすることでありました。 今回の土偶の写真を見ていただくと、ふっくらと膨らんだ腹部、しっかりと大きなお尻、やや薄くなった胸にかわいらしく表出された二つの乳房。そういった、いわば女性らしさに、だれでも気づいていただくことができることでしょう。しかも、お腹に命を宿したお母さんの姿として現されていることに注目がされるのです。 膝の辺りから下、胸の上部から上が欠けてしまっています。これは、次にあげる出土状況も参照していただくなかで、発見された時点でそうした「トルソー」(首および四肢を欠く胴体だけの彫刻:「広辞苑」による)といえるような形をしていました。つまりこのような形に、当時の人々はこだわりをもっていた、と考えられます。 安道寺遺跡の土偶出土状況(2号住居跡) このこだわりについては、これまでの遺跡トピックスなどでもふれてきていますが、なにより現在開催中の、山梨県立考古博物館第28回特別展『発掘された女性の系譜~女性・子ども・家族の造形』でも、テーマの一部を構成するものとなっています。安道寺遺跡の土偶の語るものとは?の答えは、ぜひ考古博物館の特別展でご確認されることをお勧めします。 安道寺遺跡について
空から見た安道寺遺跡の位置(箱根付近上空から) 安道寺遺跡は、甲府盆地の北東方向、甲州市塩山下粟生野にあります。今回の土偶を確認した発掘調査は、1976年に行われています。笛吹川沿岸の潅漑用配水管(幹線)の埋設工事に先立つもので、19の住居跡などを確認しています。当埋蔵文化財センターは、1982年の設立でありまして、それ以前の県教委が直接実施の発掘調査でありました。 その調査成果は、県立考古博物館に引き継がれており、初めにもふれたように、安道寺遺跡の土偶も、考古博物館の常設展示で見ていただくことができます。どうぞ特別展だけでなく、常設展もいっしょにお楽しみください。
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