トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 遺跡トピックス0477国指定史跡大丸山古墳-石枕-
ページID:84734更新日:2018年6月15日
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国指定史跡大丸山古墳とは・・?国指定史跡大丸山古墳(考古博物館の後ろにみえる) 国指定史跡大丸山古墳は、甲府盆地南東部の曽根丘陵内に所在する古墳時代前期(4世紀中ころ)に造られた前方後円墳です。前方後円墳とは名前のとおり前が方形、後ろが円形の独特な形をしています。東山丘陵中腹の標高310メートル付近に造られており、大きさは全長約120メートル、前方部幅約49メートルですが丘陵下から見上げると実際よりもっと大きく見えます。 大丸山古墳は1929年(昭和4)に前年の銚子塚古墳に引き続き、地元住民らによって石室が発掘されました。石室内からは成人男女2体分の人骨、銅鏡3面、装身具として碧玉製管玉とガラス小玉、鉄製の武具・武器として短甲や鉄刀、鉄剣、鉄鏃、農工具として鉄斧ややりがんな、鑿(のみ)、鋸(のこぎり)、刀子(とうす)、鎌(かま)、また石製品として石枕が出土しています。 埋葬施設はまず墳頂部に掘った墓穴に四角形の板のような石を四方にはめ込んで石棺を組み立て、遺骸を安置します。次に石棺のまわりに割石を積み上げて石棺を覆い、上から蓋をする「石槨(せきかく)」を構築しました。また副葬品のなかでも、古墳時代としては最も古いよろいの一つである短甲(よろいの上半身部分)、柄などに細かな意匠のある手斧(ちょうな)などが見られ、当時の最新鋭の技術を集結した古墳です。
大丸山古墳出土の石枕大丸山古墳の石枕 大丸山古墳の石棺からは、上記写真のような珍しいかたちの石枕が出土しました。 全長約70センチメートル、幅約21センチメートル、高さは最大約11.5センチメートルと枕としてはとても大きなものです。石は角部を丸く調整し表面がなだらかになるよう丁寧に加工されています。表面には左右2か所に頭を収める場所があり、頭の周囲は帯状に縁取られます。花崗岩製で表面も裏面も朱で真っ赤に塗られています。石枕だけでなく、石棺の石材も花崗岩でしかも内部はやはり真っ赤に塗られていることから、石枕が石棺とセットであると思われます。 ところで主題の石枕について、石枕には頭をおさめるところが2か所あり、また石棺内からも2体分の人骨が出土していることから、枕はこの二人分のものと思われます。しかし、二人を並べて寝かせるには、頭の位置が近すぎます。これでは二人いっぺんに寝かせると半身が重なってしまいます。 ところで石枕には頭を収める部分が2か所あり、当時の発掘記録には「人骨は男女二体分と認められる」とあります。しかし、現在のところ本当に男女の人骨かはよくわかりません。この時期の古墳で一つの石棺内に二人分の遺骸を収めることはまれで、付近に所在する銚子塚古墳や丸山塚古墳にも類例はありません。 古墳時代前期の葬送儀礼の一環として、有力者が亡くなると一定期間「もがり」という儀礼が催されます。「もがり」は死語一定期間遺骸を仮安置する行為で、「もがり」後に白骨化してから石棺内におさめたのではないか(そうすれば半身が重なることもない)とも考えられます。残念ながら2体分の遺骸は枕に頭を置いた状況で発見されませんでした。 二人がどのような関連であったのか、果たして男女なのか、引き続き枕のひみつを解き明かさなくてはなりません。 大丸山古墳→銚子塚古墳→丸山塚古墳の順で首長墓が造られたと考えられている曽根丘陵の前期古墳群ですが、一つの石棺に二人が同時に葬られること、緻密な造りの石槨に枕付きの石棺がおさめられていること、渡来系の高い技術で作られた短甲や手斧などが副葬されることなど、甲府盆地の古墳時代前期において、朝鮮半島系の技術がふんだんに取り入れられているといえます。 |