更新日:2022年2月18日
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荻原貴博氏
今回クローズアップするのは、甲州市塩山(えんざん)奥野田地区。JAフルーツやまなし奥野田支所では、光センサーで選果したブランド桃「お天桃(てんとう)さん」を全国へ出荷しています。今回は、桃農家の荻原さんに、山梨の高品質な桃はどのようにして生まれるのか。その秘密についてお聞きしました。
『桃の成長には日当たりが重要です。また、桃は湿気を嫌うので、水はけの良い土壌であることも大切。奥野田はそれらの条件がすべて揃った、桃の栽培に非常に適した土地なんです』と、目を輝かせながら答える荻原さん。奥野田地区は、露地はもちろん、ハウス栽培も盛んな地域。見渡せば、辺り一面桃畑が広がっています。ここでポイントとなるのが、“いかにして桃に日光を当てるか”とういうこと。荻原さんは収穫前に、光反射シートを桃の樹の下一面に敷き、太陽光を乱反射させることで、果実にムラなくきれいに色が入ることを徹底しています。
広い畑にシートを敷くのは手間のかかる仕事ですが、そのひと手間がおいしさだけでなく見た目も美しい桃を生み出しています。
奥野田の桃は、大きく色も良い。おいしさだけではなく見た目も追及する匠のこだわりが、そんな評判を生むのかもしれません。
『光センサー選果機は、果実に光を当てて糖度を判別し、着色の度合いやサイズなどをチェックできる機械で、見た目が良く甘い桃を選別し出荷できます。光センサー選果はJAで行われ、その日私たちが出荷した桃の糖度などのデータを見て、翌日以降の収穫に生かすことができます』と、荻原さんは説明してくれました。例えば糖度が低い場合は「早もぎ」だったことを示すので、収穫を少し遅らせ、逆に熟しすぎていれば、少し早く収穫する判断ができると言います。『試行錯誤を繰り返しながら、3段階ある品質基準の一番上の「特秀」を目指して、質の高い桃を出荷しています』と、甘い香りに包まれている桃畑で、爽やかな笑顔でそう答えてくれました。
荻原さんは決して現状に満足しておらず、さらなる歩みを止めません。
これから、さらに産地をレベルアップさせるために必要なことは、と聞くと、『積極的に新品種を導入すること、より質の高い桃をつくっていくこと。そのためには、生産者が常に学んでいく姿勢も重要です』と答えてくれました。
その取り組みは個人の活動にとどまりません。30名近くの生産者とともに青年部を立ち上げ、他県の産地や試験場を視察するなどの交流も行っています。
『産地全体で協力して、奥野田というブランドの価値を上げていこうとがんばっています』。そう語る荻原さんの目は未来をしっかりと見据えていました。
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