更新日:2021年12月16日

TOP > 匠のつくる未来 > 創業100年を超える伝統のわさび

ここから本文です。

創業100年を超える伝統のわさび

菊地富美男氏

wasabi1

菊地さんは、山梨県東部に位置する都留市で、祖父の代から続く、伝統ある農業技術を受け継ぎ、「菊地わさび園(約7,000平方メートル)」を経営しています。幼少期から祖父や父と一緒にわさび栽培に関わりましたが、高校卒業後は農業以外の職に就きました。就職後、23歳のときに実家のわさび園の経営が行き詰っているため、建て直しを決意して就農しました。就農後、祖父や父から学んだ農業技術に加えて、自然農法の導入や農産加工への参入、農業体験の受け入れなど、新たな分野にも積極的に挑戦し、伝統ある農業をさらに魅力あるものにしています。

人間と自然環境にやさしい「自然農法」

wasabi2

菊地さんは、わさび園を受け継いでからしばらくの間、化学農薬を使用して病害虫を防除していましたが、化学農薬による人体やわさび、自然環境への影響を考慮して、自然農法に切り替えました。化学農薬を使用しないことにより、害虫を手で駆除する必要が生じ、大きな手間となっていましたが、次第に、害虫を駆除するクモやハチなどの"益虫"が増え、害虫の被害が少なくなったとのことです。また、わさび自体が病気に強くなり、収穫後の腐敗が減ったとのことです。除草管理についても、除草剤を使用せず、手作業で行っているため、清流を汚さない、“自然環境にやさしい栽培”を行っています。

わさび栽培だけではない、体験型の農業へ

wasabi5

「伝統あるわさび栽培を多くの人に知ってもらいたい」「都市で働く方々に、豊かな自然環境の中で農業の体験をしてもらい、心の安らぎを与えたい」という思いから、わさびの収穫体験などができる"体験型の農業"を実践しています。わさびの収穫体験では、菊地さんから、わかりやすく、また、ユーモアを交えた楽しい説明を聞きながら、年間通して一定温度の清流の中に手を入れ、辛味だけではなく香りや甘みが詰まった高級品種「真妻(まづま)」わさびを収穫することができます。わさびの収穫を体験したお客様からは、「大自然の中で心がすっきりした」「家に帰ってわさびを料理に添えるのが楽しみ」などの言葉があり、菊地さんもやりがいを感じているとのことです。

受賞を受けての菊地さんの言葉

wasabi3

山梨県の農業をリードする優れた経営などに取り組んでいる個人・グループを顕彰する、第51回山日YBS農業賞(奨励賞・審査員特別賞)の受賞後、家族や周囲の人から「おめでとう」との声があり、喜んでもらいました。伝統あるわさびの栽培技術だけではなく、自身が確立した自然農法や農産加工、農業体験など、新たな取り組みが評価されたのは、非常に喜ばしいことです。今後も、多くの人に喜んでもらうため、豊かな自然環境を維持し、安全安心な農産物を提供していきたいです。

“サスティナブルな未来”に向けて

wasabi4

農産物の安全安心、環境保全など、農業には様々な課題があります。菊地さんは、山梨県の農業生産工程管理“やまなしGAP”の認証を受け、こうした課題の解決を図っています。具体的には、チェックシートを活用してわさび園内での農産物や自然環境等に関するリスクを把握することで、農産物や自然環境等を汚染することがないように心がけています。こうした取り組みは、消費者の方々への安全安心な農産物の提供につながり、将来にわたっても持続可能であり、「おいしい未来へ やまなし」のストーリーである“サスティナブルな未来”を連想させるものです。また、菊地さんは、有機農産物の日本農林規格見直し検討委員会の相談役としても活躍され、全国の有機栽培農家やわさび栽培農家への指導的役割も果たし、こうした取り組みを全国に広めていきたいと考えています。

※やまなしGAPとは・・・「やまなしGAP」は、国の「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に準拠した「やまなしGAP(農業生産工程管理)手法導入基準書(以下、基準書)」にもとづくGAPの取り組みを適切に実施している個人、法人、生産団体等を県が認証し、「安全・安心な農産物の生産」や「環境に配慮した生産」などを実践する産地をPRしていく制度です。
詳細は、次のリンクより農業技術課のページをご覧ください。

おすすめ記事

このページをシェアする

Twitter

FaceBook

やまなしブランドの農畜水産物を紹介します

「おいしい未来へ やまなし」を楽しもう

ロゴマークを使いたい方はこちらから