更新日:2021年12月3日
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荻野洋和氏
昔から南アルプス市でブドウ栽培をしており、自分の代で4代目となります。10年前よりブドウ栽培のみを専門で行うようになり、本格的な生産を始めました。ブドウの栽培面積は合計約8,000平方メートル、そのうち「シャインマスカット」は約7,000平方メートルです。親が高齢ということもあり、数年前に家を継ぐ決心をし、サラリーマンからブドウ農家へと転身しました。現在は家族で経営をしています。
ブドウ栽培において、より良いブドウを作っていくためには土作りが重要だと思います。ここのブドウ畑では土壌分析を行い、どの栄養成分が不足しているのかデータに基づいて、与える肥料の量や内容を変えています。また、堆肥や細かくした稲わらを撒いたりすることで、土を軟らかくしています。
ブドウの木には意思があるので、土の力を高め、健康な根が育つ環境を整えてあげれば、それにしっかりと応えてくれ、品質の良いブドウを生み出してくれます。
「長梢剪定」という方法で剪定を行っています。
その年に伸長した枝の中から、必要な枝を判断し剪定する、ということを毎年繰り返し、ブドウの木にとって最適な環境を作り出すことができます。
ブドウ園全体を通して、均一で高品質なブドウを作り出すにはこの剪定作業が非常に重要となるため、樹の樹齢、特性を見ながら慎重に作業をしています。
令和2年度山梨県果樹共進会ぶどう「シャインマスカット(長梢剪定・露地栽培)の部」で最優秀賞を受賞したことで、周囲の人には祝福の声をかけてもらいました。ただ、受賞できたのは、これまで父が積み上げてきたものがベースとなったり、御教授いただいた様々な人の助けがあってこそのものだと思っています。
今回受賞したことで、自分の作ったブドウを多くの人に知っていただくことを期待し、今後も食べて美味しく、さらには食べた人を感動させるようなブドウ作りをしていきたいと思います。
地球温暖化が進んでいき、それに伴う異常気象が頻繁に起こる中で、ブドウ栽培も変化する環境に適応していかなければなりません。そこで、ハウスのブドウ園ではIoT(注)を導入して環境制御をしており、ハウス内が高温や低温になりすぎないよう自動で温度調整を行っています。また、IoTシステムにより、畑の環境に適応したブドウ栽培ができるので、ブドウ栽培の経験を積み上げた技術者だけではなく、後世にも今のブドウ栽培を受け継ぐことができ、同時に産地の維持にもつながるのだと思います。これからも栽培技術の腕を磨き、品質の高いブドウをより多くの人に食べてもらえるよう頑張っていきます。
(注)IoT:「Internet of Things」の略で、‘モノのインターネット’と訳され、様々なモノがインターネットを介してつながる仕組みのことをいう。農作業の省力化や、高品質な農産物の生産に役立つなど、農業分野でも期待されている。
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