更新日:2022年4月6日
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佐々木誠氏(株式会社ハイチック)
年間の日照時間が日本一で豊かな自然に囲まれた山梨県北杜市明野町。標高約850mの高台にある茅ヶ岳の麓、八ヶ岳や甲斐駒ケ岳など壮大な山々を望むことができるこの地で養鶏を営んでいる株式会社ハイチック。
そこで、鶏の飼育管理をしている佐々木さんにお話を伺いました。もともと横浜出身である佐々木さんは、自然に対するあこがれや農業に対する強い思いもあり、7年前にハイチックに入社しました。
「卵が好きだったので、自然が豊かなこの地で最高の卵を作ってみたいと思っていました」。佐々木さんの育てる鶏が作りだす卵は、品質が非常に高く、肉畜鶏卵共進会(鶏卵の部)で金賞を受賞しています。なぜ高品質の卵ができたのか、その秘訣について伺いました。
卵の品質を一定に保つためには、気を配らなければいけないことがたくさんあります。「鶏は一年中同じように卵を産むのではありません。鶏は日照時間が短くて、気温が低くなる冬は卵を産まなくなってしまいます。また、暑くなる夏にはたくさん水を飲むので、味が水っぽくなったり、卵の殻が薄くなってしまうこともあります」と佐々木さんは教えてくれました。そこで、鶏舎では照明を付けることによって、短くなった日照時間を補い、また温度も季節によらず常に一定となるよう、自動で保たれています。「鶏舎が自動化されているといっても、やはり生き物相手ですから、思い通りにならないこともあります。最後は人の目やこれまでの経験が頼りになります」と佐々木さんは言います。
さらには、その日のエサの食べ方を見て、細かな環境を調整しています。スーパーに一年中卵が並んでいて、一年中食べられるのも、こうした日々のたゆまぬ努力の上に成り立っています。
また、鶏舎の衛生管理には、細心の注意を払わなければなりません。鶏の抗体検査やサルモネラ検査などに加え、特に冬の時期は鳥インフルエンザに神経を使います。「毎年冬になって鳥インフルエンザが流行る時期になるとひやひやしています」。そう語る佐々木さんから、いかに細心の注意を払って鶏舎管理をしているのかが伝わってきました。
鶏卵の品質は、卵の殻の硬さ、新鮮さの指標であるハウユニットや黄身の丈夫さなどで評価します。佐々木さんが育てる鶏が生み出す卵は、そのどの項目においても高い評価を得ています。そのことについて、佐々木さんは「なかなか金賞は取れませんでしたが、鶏の状態を常によく観察して、エサや健康管理に気を配ったことが、結果として受賞につながったのだと思います。」とおっしゃっていました。
受賞した卵は黄金に輝き、味も濃厚だということです。「ぜひ、皆さんに一度は食べていただきたいです。卵かけご飯がおすすめです」と佐々木さんは笑顔で語ります。
近年消費者の安全安心へのニーズは強くなっています。そこで、ハイチックでは山梨県内の契約農家が栽培、収穫した米を飼料に混ぜて与えています。「誰が、どこで、どの様な栽培をして収穫した飼料米なのか、しっかりと分かったうえで与えることが、安全な鶏卵の生産につながるのだと思います。」と佐々木さんは言います。
また、ハイチックでは与える水にもこだわりを持っています。「ここでは地下400mからくみ上げた深層地下水を鶏に与えています。茅ヶ岳に降った雨水がゆっくりと濾過され、磨かれた安全な水です。」そうしたミネラルが豊富な名水が、品質が良くて、かつ安全安心な卵を生み出すカギとなります。
ハイチックでは、鶏舎内で出た鶏ふんを堆肥にする取り組みをしています。できた鶏ふん堆肥は飼料米を購入した農家や周辺の地域へ配られます。
近年、商品を購入することで、地域社会や環境問題の解決に貢献するエシカル消費という考え方が広がっています。「会社の方針として“三方よし”という言葉があります。会社の経営が良く、お客さんに喜んでもらい、かつ地域が幸せであるという考え方です。こうした地域循環型の取り組みをすることが、長続きする会社経営につながるのだと思います」と佐々木さん。ハイチックはこれからも、地域と二人三脚で進みながら、最高の卵をつくり続けていきます。
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