更新日:2024年2月15日
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芦澤隆氏
サラリーマン経験を経て、奥さまのご実家であるぶどう農園を継いだ芦澤さん。令和4年度はその優れた技と実績が評価され、山梨県果樹共進会において最優秀園として農林水産大臣賞を受賞。「皆さんのおかげで賞をいただくことができました」と微笑む芦澤さんに、ぶどう栽培にかける思いなどを伺いました。
「私は14年ほど前までサラリーマンをしていました。サラリーマン時代から妻の実家のぶどう農園を継ぐつもりでいたので、義父が80歳を過ぎたタイミングで就農しました。しかし就農後すぐに頼りにしていた義父が病に倒れ、私は右も左もわからない状態で農業を始めることになりました。そんな私に、農協の指導員や地域の皆さんが心配して声をかけてくれたり、栽培上の助言をしてくださいました。そのおかげで私も徐々にぶどうの栽培ができるようになったのです。私はまず指導員に教えていただいた方法をしっかり守りながらぶどうを栽培することに努めました。大切なのは『基本に忠実であること』これは長いサラリーマン時代に培ってきた考え方です。当時の私は農業を全く知らない状況でしたので、いただいた助言は素直に、且つ真摯に受け取るべきと考え、農業に向き合っていきました」。
芦澤さんは、第62回農林水産祭参加の全国農業協同組合連合会山梨県本部主催令和4年度山梨県果樹共進会において最優秀と認められ、「ぶどう 種なし巨峰 露地栽培の部」の農林水産大臣賞を奥さまの里美さんとともに受賞しました。
「共進会の審査では、1次審査として、栽植密度、整枝剪定、樹勢、果実着生状況に加え、土壌管理や病害虫発生状況を評価され、1次審査をクリアした者のみが2次評価で果実商品性(外観、品質)及び系統共販実績を評価されます。私は、幸いにもこの審査会で高評価をいただき最優秀賞となりました。この受賞を、これまで私に力を貸してくださったすべての皆さんと、つらい時にも一緒に栽培してくれた家族に捧げたいと思っています。
営農を始めてから受賞まで、ここまでの道のりには多くの困難がありました。最も印象的だったのは、ぶどうの病気により一枚の畑が全滅したことです。私はぶどうの病害対策は、病気を発生させないことが基本だと、身に染みて理解しました。このことは、ぶどうも人間も同じだと感じています。
病害の発生要因を少しでも取り除くために、収穫後に棚の針金に残った小さな巻き蔓もひとつ残らず除去しています。もし巻き蔓に菌が残っていた場合、それが越冬して翌年病害が発生するおそれがあるからです。とても手間が掛かる作業ですが、病害を発生させないため、徹底的にぶどう畑の管理をしています」。
「山梨県は皆さまに信頼される農産物生産に向けた取り組みとして『農業生産工程管理GAP(ギャップ)』を導入しています。GAPとは農業生産における各工程の正確な実施、記録、点検及び評価を行い、持続的に改善していく活動のことで、近年、全国的に導入が進んでいます。GAP手法の導入は、農産物の安全性の向上や環境負荷の軽減、農業者の安全な労働環境の実現や、消費者や実需者の信頼につながります。私の農園がある笛吹市春日居地区では、以前から地域独自のGAP『春日居GAP(通称)』に取り組んできました。山梨県が平成21年3月に県独自の『やまなしGAP』に取り組み始めたときも、春日居GAPがあったことで、やまなしGAPの第一号に認証されました。出荷する農産物の箱には、やまなしGAPのマークを入れています。これは、決して妥協しない私たち生産者の責任と自信の証です」。
【後編】では、芦澤さんのぶどう作りの技や、おいしいぶどうができる理由などを紹介します。お楽しみに!
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