更新日:2022年2月18日

TOP > 匠のつくる未来 > 大きく育つ手間ひまかかった桃

ここから本文です。

大きく育つ手間ひまかかった桃

田中敏氏

大きく育つ 手間ひまかかった「大藤の桃」。

甲州市塩山にある大藤地区。JR中央本線・塩山駅の北東に広がる果樹園地帯です。「大藤流」と呼ばれる地域独自の剪定法で知られるこの地も、おいしい桃を全国へ送り出している名産地。今回は、大藤地区の生産者・田中さんにお話を伺い、桃づくりの舞台裏を紹介します。

「大藤流仕立て」で育つ、高品質な桃。

「大藤流仕立て」で育つ、高品質な桃。

大藤流仕立ては、山梨県甲州市塩山の大藤地区で開発された桃の仕立て方法(整枝剪定方法)のひとつに分類されます。2本の主枝を仕立てる「開心自然形」が最も一般的ですが、4本程度の主枝を利用する大藤流は、若い木でも高品質な桃をたくさん収穫できるのがメリットです。地域で開発された仕立て方法を用いて桃を育てる田中さんは、『地域農家の先輩方や、JAの指導員の方にアドバイスをいただきながら栽培しています』と、とても謙虚に語ってくれました。実際、桃づくりにはものすごく労力がかかります。桃が実をつけるためには、枝の仕立て方が重要なので、剪定には細心の注意を払わなくてはいけません。『剪定を行うのは、葉が完全に落ちた冬。その後すぐ、早ければ1月の後半から摘蕾の作業に入ります。米粒のような蕾を、少しずつ摘んでいく地道な作業。桃の枝にはたくさんの蕾が着きますが、大きな果実を育てるために不必要なものを取り除かないとダメなんです』と、田中さんは答えてくれました。収穫を迎える6月ごろまでは、ほぼ休みなしで、農作業にかかりきりになるそうです。大藤のおいしい桃には、そんな田中さんの努力と、桃に対する愛情がたくさん詰まっています。

困難も失敗も糧にして、おいしい桃を追い求める。

困難も失敗も糧にして、おいしい桃を追い求める。

『人間が生き、成長するためには、まずは食べていかないといけないですよね。それと同じように、桃にも栄養を与えないと、大きく育っていかないのです。水だけでなく、肥料がとても重要なんです』。桃を大きく成長させるためには何をしたらいいか。桃のことを常に第一に考えている田中さん。
さらに、常に自然と向き合うことになるのも桃づくり。必要な時に雨が降って、出荷する時には雨が少なくなるのが理想です。しかし、なかなかそうもいかないことばかり。田中さんは就農したばかりのころ、連日雨が続いたことで、1つの品種が全てダメになってしまったこともあったそうです。『甘い桃を育てるためには、やっぱり太陽の光も大切。自然には勝てませんが、天候不順にならないことを願うばかりです』。そう答える田中さんの目は、真っ直ぐに晴天の空を見つめていました。

産地を訪れて味わいたい、山梨の桃。

産地を訪れて味わいたい、山梨の桃。

山梨では多くの品種が作られています。その中でも、県が開発した「夢みずき」という品種は市場の評価も高く、田中さんも栽培にチャレンジしています。「夢みずき」は、「白鳳(はくほう)」よりも収穫が3日ほど早い品種。雨が多い年でも着色しやすく、大玉になる品種です。食味も優れていて、人に贈っても「これはおいしいね!」という言葉が返ってくるほどの評判だとか。
通常、収穫した桃が市場や仲卸を経由して店頭に商品が並ぶまでに、3~4日かかります。タイムラグがあるために、「もっとやわらかい桃が食べたい」、逆に「硬い桃のほうがいい」という消費者のみなさんのニーズに応えきれない部分があるそうです。やはり産地を訪れて、自分好みの桃を選んでいただくのがベスト。『私たちも、「やっぱり大藤の桃はうまいな」というお客さまからの言葉を直接聞くのが一番嬉しいですし、桃のおいしさをより感じていただけると思います』と、田中さんは実際に産地に来て、そこでモモを食べてもらいたいと語ります。
さらに、田中さんのこれからの夢をお聞きすると、『夢みずきを含めて現在11品種を栽培していますが、品種をもう少し増やしていきたいですね。これからさらに新しい品種が出てくれば、栽培に挑戦したいと思います』と、答えてくれました。田中さんの匠としての挑戦は、まだまだ終わりません。

おすすめ記事

このページをシェアする

Twitter

FaceBook

やまなしブランドの農畜水産物を紹介します

「おいしい未来へ やまなし」を楽しもう

ロゴマークを使いたい方はこちらから