更新日:2024年12月10日

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素晴らしいぶどうをつくることが、私の生きがい。【後編】

横森 松子氏

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ご主人と一緒に始めた大切な畑を引き継ぎ、60歳からひとりで奮闘してきた横森さん。ご主人の存在に支えられ、その思いに応えながら育ててきたピオーネの素晴らしさが認められ、令和5年度山梨県果樹・野菜共進会において農林水産大臣賞を受賞しました。後編となる今回は受賞した「ピオーネ」の魅力や横森さんが培った技などについて紹介します。

ひと枝ひと枝に語りかけるように
一から磨いた剪定の技

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ぶどう栽培におけるさまざまな作業の中でも、特に重要になる作業のひとつが、必要な枝を判断し、不要な枝を除去してぶどうの木にとって最適な環境をつくっていくための「剪定」です。横森さんの農園ではご主人が剪定を行っていたため、横森さんは60歳から本格的に剪定の技術を身につけていきました。ぶどうの剪定方法には大きく分けて長梢剪定と短梢剪定の2つがあり、それぞれに良さがありますが、横森さんは昔ながらの長梢剪定をしています。自然形ともいわれる長梢剪定は木の特徴を良く知った上で、養分が木に行き渡るように、棚に置く枝の割合を適正に保った仕立て方をする必要があります。そのため経験と確かな技術が重要になりますが、「がんばった分だけ品質が良いぶどうができると思ってやっています」とぶどうを見つめる横森さん。そんな横森さんの農園の棚の高さは、小柄な横森さんの身長に合わせて低めになっています。それはぶどうに語りかけるように作業をする横森さんにピッタリな棚です。

ひと房ずつ丁寧に、愛情を注ぐぶどうづくり

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ピオーネは巨峰より一回り果粒が大きくボリューム感があり、爽やかな香りと濃厚な甘みが魅力で、その上品な食味は高級感が漂い高い人気を誇るぶどうです。令和5年度山梨県果樹・野菜共進会「種なしピオーネ(露地栽培)の部」において最優秀賞となる農林水産大臣賞を受賞した理由について横森さんは「ぶどうの房型と粒の張りと、着色のきれいさを評価していただけたのかもしれません」といいます。謙虚な人柄で、あまり多くを語らない横森さんですが、剪定と同じく重要な「摘粒」などの作業にもこだわりがあります。摘粒により房型や粒の数が決まりますが、横森さんは粒をあまりつけずに、ひと粒ひと粒の玉張りが良くなるように、ぶどうの完成形を考えながら粒の配置をしています。また摘粒から袋かけまでをスピーディーに行っているのも特徴で、「袋かけを早くすることによって病気にもかかりにくくなり、外観もきれいに仕上がるんですよ」と教えてくれました。

穂坂という産地を未来につないでいく

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韮崎市穂坂町は、茅ヶ岳山麓の丘陵地帯に位置し、横森さんの農園からも富士山がちょうど正面に見えるなど、美しい風景が広がっています。穂坂のぶどう畑は標高400mから500m地帯に広がっておりフルーツ王国やまなしの中でも標高が高めで遅場産地となっているので、早場産地と比べると1ヶ月ほど出荷が遅くスタートします。「標高が高い分、寒暖差も大きいので糖度が高まり美味しいぶどうができます。早場の産地のぶどうも十分楽しんでいただいて、その後で穂坂のぶどうを食べてみてください。それぞれに魅力がある山梨のぶどうが味わえると思います。栄養も豊富なぶどうを食べて元気になってくださいね」と笑顔の横森さん。ピオーネだけでなくワイン醸造用のぶどうも栽培している横森さんですが、今でも剪定だけは人に任せずご自身で全部やっています。女性ひとりでこれだけがんばっている横森さんの存在は若手の女性新規就農者の方などに良い刺激を与え、「松子さんががんばっているから、私たちもがんばろう!」という思いが広がって、穂坂はさらに魅力ある産地へと歩みを進めています。

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