更新日:2024年4月15日
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甘味と酸味が爽やかに調和した収穫量日本一を誇る夏の贈り物
山梨県は「もも」や「ぶどう」だけではなく、「すもも」も収穫量日本一。種類も豊富で、初夏から夏の終わりにかけて旬をむかえます。世界で最も重いすももとして認定された「貴陽」をはじめ、山梨県のオリジナル品種「サマーエンジェル」など、爽やかな酸味とみずみずしい果肉は、暑くなる季節にぴったりです。
旬の時期 |
6月上旬から9月上旬 |
山梨県で栽培されているすももの一部を紹介します。収穫時期は、その年の気候や産地によって前後します。
大石早生李(おおいしわせすもも)
収穫時期:6月上旬から下旬
収穫時期が早く、甘酸っぱさを楽しむことができるハートの形をした品種です。収穫後に追熟するため、食卓で食べ頃になるように、果樹園では果実の先端が赤く着色し始めた頃に収穫されています。
菅野中生(かんのなかて)
収穫時期:7月上旬から中旬
果実の重さは100g程度で、皮は濃紅色です。糖度が高く酸味が少ない、しっかりとした肉質の品種です。
ソルダム
収穫時期:7月中旬から下旬
皮は緑色ですが、果肉は赤いのが特徴です。常温で追熟させると皮が赤くなり、酸味が抜けていく、酸味と甘味が絶妙に調和した品種です。追熟し色づいたソルダムでつくる果実酒はきれいな赤色になります。
サマーエンジェル
収穫時期:7月中旬から8月上旬
山梨県果樹試験場が育成したオリジナル品種で、果実の重さは150〜200gと大きめです。糖度は15~17度と高く濃厚な味わいで、鮮やかな紅色の皮が特徴です。
貴陽(きよう)
収穫時期:7月下旬から8月中旬
果実の重さが200g以上の極大玉となり、大きいものは300gを超えます。酸味が少なく糖度は高く食べ応えが抜群で、従来のすもものイメージを一新。贈答用としても人気があります。
太陽(たいよう)
収穫時期:8月上旬から中旬
果実の重さは140g前後で、果肉はしっとりと緻密で、種ばなれがよく食べやすい品種です。完熟すると皮は美しい紫色となり、ほどよく酸が抜けるので強い甘味を感じることができます。
皇寿(こうじゅ)
収穫時期:8月中旬から9月初旬
山梨県南アルプス市のすもも農家が「貴陽」の畑で、枝変わりを見つけたことから生まれた品種。果実の重さは250g以上の極大玉になり、ジューシーで酸味は少なく糖度は17度前後と高く濃厚な味わいです。
表面に白く粉を吹いたようになっている状態が鮮度の良い証。この白い粉は「ブルーム」と呼ばれ、果実から自然に出たもので、水分の蒸発を防ぐなどの働きがあります。品種にもよりますが、次のようなポイントで選ぶとよいといわれています。
食べ頃になると、すもも特有の甘い香りがしてきます。
果皮
表面に張りがあり、白い粉(ブルーム)がついているもの。傷や色むら、茶色い変色がないもの。
果形
縫合線(割れ目)を中心に左右対称で、ふっくらとした円形のもの。
重さ
持ったときにずっしりと重みがあるもの。
まだ熟していないすもも
果肉がかたく酸味が強いものが多いので、新聞紙で優しく包み、直射日光が当たらない風通しの良い場所で保存し、好みに合わせて追熟させましょう。果肉に少し弾力がでて、甘い香りがしてきたら食べ頃です。
完熟したすもも
新聞紙で優しく包み、冷蔵庫(野菜室)で保存しましょう。ただし、あまり日持ちしませんので、なるべく早く食べるようにしましょう。
冷凍保存
くし切りにして種を取り除いてから保存しましょう。金属製のトレイなどに重ならないように並べて冷凍庫に入れ、凍ってから保存袋に移すと、すもも同士がくっつきにくくなります。なお、解凍する際に水分が出て食感が悪くなってしまうので、半解凍でシャーベットのように楽しむのもよいでしょう。
食べる直前に洗って、食べやすい大きさに切りましょう。皮にも栄養がありますので、気にならない方は、皮ごと食べてもよいでしょう。切るのが面倒だという方は、そのままかぶりついてもよいでしょう。
すももの個性である酸味や香りを活かして、ジャムやコンポート、果実酒などにするのもオススメです。
甘酸っぱいすももには多くの栄養素が含まれています。酸味はリンゴ酸やクエン酸などが多いためで、皮にはポリフェノールが含まれています。その他にも、ペクチンなどの食物繊維やカリウムが豊富で、ビタミンAや鉄分も含まれています。
すももは漢字で「李」と書きますが、「酢桃」と書かれることもあります。
「李」
「木」に果実を意味する「子」で、果実のたくさんなる木を表しているといわれています。
「酢桃」
形が桃に似たような果実で、酸っぱいということに由来しているといわれています。
日本のすももは弥生時代に中国より渡来したと考えられ、万葉集にも詠まれています。江戸時代に入ると各地方に栽培が広がり、明治時代には「巴旦杏(はたんきょう)」や「牡丹杏(ぼたんきょう」と呼ばれるようになりました。
ケルシー(甲州大巴旦杏)の果実
1870年には、現在の南アルプス市落合地区で栽培されていた「甲州大巴旦杏(こうしゅうだいはたんきょう)」という品種がアメリカに渡ります。カリフォルニア州バークレーのケルシ氏の農場で栽培された後、品質の優秀さが認められ「ケルシージャパン」として大正時代末期に日本に戻ってきたのが、現在の「ケルシー」という品種です。大正時代には「ソルダム」などの品種が日本で導入され、戦後には「大石早生李」なども生まれ、全国に広がっていきました。
山梨県のすもも栽培の歴史は古く、江戸時代の嘉永年間に長崎から苗木を持ち帰ったのが始まりといわれています。明治時代には、現在の南アルプス市落合地区一帯が産地として知られるようになりました。昭和40年代に入り、水田や桑園から果樹園に転換する作目のひとつとして、現在の峡東地域(山梨市、笛吹市、甲州市)などを中心に県全体へ広がっていきました。
山梨県の甲府盆地は周囲を山に囲まれ、水はけがよい土壌です。気候には「昼夜の気温差が大きい」「年間の日照時間が長い」「年間の降水量が少ない」といった3つの特徴があります。太陽の光をたくさん浴びたすももは、昼間に果実を甘くする成分を作り出して蓄えます。植物は1日中呼吸をしているので、貯めた成分を消費しますが、気温の低い夜間は消費が少なくなるので、夜間が涼しいほど甘みのある果実へと成長します。降水量が少ないことは、病気にかかりにくいだけでなく、糖度の上がりやすさにつながります。気候・風土に恵まれた山梨だからこそ、おいしいすももが育まれています。
農林水産省の統計によると、記録が残されている昭和54年から現在まで、山梨県のすももの収穫量は日本一を誇ります。山梨県の令和3年産の収穫量は6,680tで、全国の3割以上を占めています。
2012年に世界一重いすももとして認定された「貴陽」。この時の重さはなんと323.77gで、「もも」に引けを取らないボリュームでした。
山梨県の特色ある取り組みを紹介します。