印刷

ページID:120233更新日:2025年3月27日

ここから本文です。

調整事件の事例

退職に関する事例

事例1

・ あっせん申請に至るまでの経過

 Y社に勤務していたA従業員は、労災事故で休業していたが、症状固定以降もY社へ連絡せずに出社しない状態が続いたことから、Y社は、Aを自己都合による退職とした。その後、AはX労働組合に加入し、X労働組合はY社に対し、A組合員の退職について、団体交渉の申し入れを行った。しかし、Y社は、団体交渉に応じなかったため、自己都合退職とされた退職事由、労災事故に係る損害を加味した解決金の支払い、労働保険・社会保険手続への対応等を求めて、X労働組合からあっせん申請がなされた。

 

・ あっせん申請後の経過

 2回開催したあっせん期日において、あっせん員が当事者双方と交渉を重ねた結果、労災の損害賠償関係を除いたA組合員の退職に関する事項について、解雇予告手当金相当の解決金を支払うことで合意を得たことから、あっせん案を提示し、これに両当事者が応諾した。

事例2

・ あっせん申請に至るまでの経過

 Y社に勤務していたA従業員及びB従業員は、採用年が1年ずれていたが、双方とも雇用条件通知書上、退職金はない旨明記されており、就業規則上も退職金支給に係る規定はなかった。Y社は、A及びBともに5年程度勤務した頃、両者に経営悪化を理由として別の職種への転換及びそれに伴う賃金の引き下げを勧奨したが、両者が直ちに回答しなかったところ、両者はY社から退職を勧奨された。

 その後まずはAがX労働組合へ相談、その場でXに加入し、X労働組合はY社へA組合員が退職勧奨に応じないことを通知、退職勧奨理由の説明を求めて団体交渉を申し入れ、団体交渉が開催、その際労使は話し合いで穏便に紛争を解決していく方針を確認した。

 しかしながら、間もなく、Y社はA組合員を含む事業所の全従業員に対し、1か月後に廃業、解雇の予告を通知した。全従業員によるY社との交渉の結果、Y社は、廃業時期を2か月程度延期しいったんは解雇予告も撤回したものの、正確な廃業日は示さず、また、退職金の支給や退職までの所定の有給休暇の消化方法などについても、積極的な説明がなされない状況が続いたことから、X労働組合はY社へ、①退職金は、勤続年数に応じ、会社都合として全額支給すること、②有給休暇残余日数相当分を解決金で支払うことを求めて団体交渉の開催を要求した。

 その後、BもXに加入し、X労働組合はY社に対し追加でB組合員の雇用保険遡及加入を求め、改めて団体交渉開催も申し入れたが、Y社は、B組合員を雇用保険に加入させる旨回答したものの詳細は示さず、団体交渉期日の延期を求めた。

 こうした状況を経て、退職金等の支払を求めX労働組合からあっせん申請がなされた。

 

・ あっせん申請後の経過

あっせん申請後にA組合員及びB組合員に対し解雇予告通知がY社からなされたが、A、B両者は退職自体争わないとしてあっせん期日が開催された。

 あっせん員は、その際Y社に対し、事業縮小や廃業を使用者としては前々から念頭に置いてあったとしても、従業員にとっては不意打ちであり、全体の経過も説明不足であることを指摘、また、今後不当労働行為の救済申立てや労働審判で争われる可能性もあることなども説明しながら、退職金の譲歩を促すなど、両当事者への説得を重ね、最終的には、両組合員への退職金割増しの考え方を取り入れた解決金の支払いや、有給休暇の取得、雇用保険の遡及可能手続などを内容とするあっせん案を提示し、これに両当事者が応諾した。

事例3

・ あっせん申請に至るまでの経過

 Y社は、役員Cを解任することとしたが、同人が新会社設立を予定していることを把握したことから同人の直属の部下であるA従業員及びB従業員ら数名に対し、付き従って退職するか否かは各個人の意思を尊重する方針を示したところ、当該解任後のY社の体制等に疑念や不安などを感じたことから、A、BともにY社を退職することを決めた。

 その後、A及びBは、X労働組合へ相談をし、その場でXに加入した。X労働組合はY社によるA組合員及びB組合員への対応が退職強要又は違法な退職勧奨に当たるとして、退職金又は解決金の支払い、所定の有給休暇の残余分の買い取りなどを求めて、団体交渉を申し入れた。その後、両組合員は退職し、約3か月間のうちに団体交渉が合計4回開催されたものの、妥結までには至らなかった。

 こうした状況を経て、団体交渉事項をあっせん項目として、X労働組合からあっせん申請書が提出された。

 

・ あっせん申請後の経過

 2回開催したあっせん期日の中で、あっせん員は、Y社に対し、今回の役員Cの解任はA組合員及びB組合員にとって突然のことで、その他の事情に照らしても、A組合員及びB組合員は退職するか否か非常に思い悩んだことを指摘しながら、解決金の譲歩を促すなど、あっせん員が両当事者への説得を重ねた結果、最終的には、退職強要はなかったことをあっせん案に明文化することを条件に、両組合員への解決金を支払うことで合意した。このほか、あっせん員は、所定の有給休暇の買取金及び立て替えた経費の支払い等も含めた内容としたあっせん案を提示し、これに両当事者が応諾した。

未払い賃金に関する事例

事例4

・ あっせん申請に至るまでの経過

 Y社において資格が必要な職務に従事していたA組合員が、他の資格を必要とする職務への配置転換を打診された際、当該職務に対し新たな手当の支給の説明があり、Aは他の資格に係る当該配置転換に同意した。

 Y社では、Aとの面談当時、他の資格に係る養成終了後に要件充足するとして配属し、手当の支給対象としていたが、A組合員は、資格を持っていないまま異動し、異動後初めて支給された給与には説明のあった手当が支給されておらず、そのことの相談を受けたX労働組合がY社と交渉したところ、A組合員については、特例的に異動当初に遡り、一部の手当を支払う等の回答がなされたが、満額での支払いや手当に関する制度の整備を求めて、X労働組合からあっせん申請がなされた。

 

・ あっせん申請後の経過

 1回目のあっせん期日において、あっせん員は、当事者双方に、制度の整備や解決金の支払い等を要旨とするあっせん案を提示したが、Y社から解決金の支払いに難色を示されたことから、双方に更なる歩み寄りを求め、あっせんを継続することとした。

 その後、第2回あっせん期日前に、X労働組合とY社が自主的に協議を行い、概ね先に示したあっせん案の内容でA組合員を含む三者が合意し、解決した(その後、X労働組合から取下書の提出があった。)。

年末一時金に関する事例

事例5

・ あっせん申請に至るまでの経過

 年末一時金支給について、X労働組合はY社と2回団体交渉を行った。その際、Xは前年同様の支給額を要求したが、Yは前年実績を下回る回答を提示した上に年末一時金として年末支給分と翌年4月の支給分とに分割支給したい旨の提案が示され、団体交渉での協議では双方の主張が変わらない状況であったことから、X労働組合からあっせん申請がなされた。

 

・ あっせん申請後の経過

 第1回あっせん期日において、あっせん員が行った当事者双方の事情聴取及び個別折衝では、Xは一時金の金額の引上げ及び年末の一括支給を主張し、一方でYは経営状況を考慮のうえ、これ以上の金額の引上げは困難としながらも最終的に支給額の引上げを提示したが、支給方法は当初の主張どおり分割支給を要望した。Yの提案に対し、X内部で意見に相違が見られたことから、あっせん員は組合として意思統一を行うよう指示した結果、Y案で合意することとなった。

 なお、追加支給についてあっせん案に含めず、他の労使交渉の項目と含めて当事者間で確認することとなった。

 

このページに関するお問い合わせ先

山梨県労働委員会事務局 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1826   ファクス番号:055(223)1828

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

このページを見た人はこんなページも見ています

県の取り組み

pagetop